歓喜のフランス、W杯出場権を獲るまでの5時間
フランス北東部を移動中は曇りがちだった空も、パリに着くころには青空が見えてきた。その6時間後の夜空に勝利の歌声が響くことを、どれだけの人が思い描いていただろうか。
11月19日、フランス代表は歴史的な勝利を挙げた。ホームでウクライナを3-0で下し、大逆転で4大会連続のW杯出場を決めたのだ。
W杯出場が決まりピッチになだれ込むフランス代表。中央はベンゼマ アウェーでの第1戦を0-2で落としていたフランス代表が置かれた状況は非常に厳しいものだった。これまでのW杯欧州予選プレイオフにおいて、0-2から逆転したチームはいまだかつてなかった。攻めなければならないが、失点すれば逆転は絶望的になる。失点をせずに3点を奪う。フランスがブラジルに行くためにはそれしかなかった。
フランスがW杯出場権を勝ち取る5時間ほど前、パリの一角ではアルジェリア人たちが国旗を掲げて大騒ぎをしていた。フランスに多くの移民を持つアルジェリアもこの日、ブルキナファソとのアフリカ予選プレイオフ第2戦を戦うことになっていたのだ。その熱気は警官隊が出動するほどであった。
一方、フランス人はひっそりとスタジアムのあるサンドニへ向かっていた。自分たちの状況が厳しいことが分かっていたからかもしれない。最寄駅の雰囲気も、とてもW杯出場がかかった試合が行なわれようとしているとは思えなかった。
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