【イングランド】ハットトリックの香川真司「生きる形を示せた」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「冷静で知的」と、ファーガソン監督が最もたたえたのはこの2点目だった。

 一方、見応えがあったのは3点目、後半42分のことだ。中盤で香川がウェルベックへパスをすると、ウェルベックはドリブルで持ち上がりルーニーへパス。このときゴール前に走り込んだのは香川で、ルーニーのパスにファーストタッチで抜け出すと、冷静に流し込んだ。中盤から走り出した運動量と、ゴール前でのテクニックが光る得点に、指揮官は「完璧」と喜んだ。

 試合後、「今日は移籍以来、香川にとって最高の日ではないか?」と聞かれたルーニーはこう答えている。

「ゴールの数ではね。でも彼はゴール以外にも素晴らしいプレイをしているし、ハードワーカーでチームプレイヤー。3点目は自分で起点になり、決めてしまった。今日の彼の活躍には本当に喜んでいる」
 
 香川本人は喜ぶというよりも、早く次の結果を出したいのかもしれない。

「ゴールの形がすごく良かったから、そういう意味では、こういう形で生きていくというのを示せたという部分はあるけど、相手は下位のチームですから。厳しいシビアな戦いの中で存在意義というのを発揮していかないと、やっぱり認められない。もっともっと厳しい試合があるから、そういうところで結果を残していけるように頑張っていきたいと思います」

 意外なほど淡々と先を見据えていた。

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