【ドイツ】左よりも右サイド。宇佐美貴史がポジション変更で得た手応え

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

シュツットガルト戦に先発フル出場した宇佐美貴史(ホッフェンハイム)シュツットガルト戦に先発フル出場した宇佐美貴史(ホッフェンハイム) 宇佐美貴史がホッフェンハイムで抱える苦悩は、ガンバ時代、バイエルン時代とは全く別種のものだ。

 ガンバ在籍時は、宇佐美のプレイを理解し生かそうとする先輩たちの中でのびのびやれば良かった。バイエルン時代は出場機会そのものが少なかったし、出場したとしても今度はボールが回って来ない。蚊帳(かや)の外だった。彼なしでも攻撃は成立し、存在感を示すには至らなかった。ただ、ガンバにしてもバイエルンにしても、周囲のレベルが高いことは疑いようのない事実だった。その中でいかにチームにフィットし自分のスタイルを発揮していくかを考えれば良かった。ストレスを感じることもあっただろうが、それは自分の努力で克服するしかない種類のものだった。

 だが、ホッフェンハイムでは違う。レベルがそれほど高くないこのチームでは、パスが来ないのも味方選手の能力的な部分によるところが大きい。自分の力ではいかんともしがたいこの状況は、宇佐美にとって初めての経験なのではないか。

 0-1で敗れたシュツットガルト戦は、フィウミーニョの出場停止にともない、ポジション変更が行なわれた。通常の4-2-3-1から4-4-2へとシステムを変更、宇佐美は左ではなく右で出場した。これが、宇佐美にははまった。

「(味方の中盤に)右利きの選手が多くて、右にしかボールが供給できない選手がいる。左では動きが少なくて代えられることがあったけど、左にいると(味方の)顔が上がらないというか、動くタイミングが全くつかめないので、それで悩んでいたんですけど、そういう意味では個人的には右になって、顔が上がるタイミングが分かりやすかった」

 味方の顔が上がる一瞬をとらえることで、宇佐美は飛び出していける。右でプレイすればボールは出てくるし、自分もパスが出てくることを前提に動くことができる。

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