【イングランド】マンU対バルサ。最高峰の一戦で香川真司が「流れを変えた」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 マンUにしてみれば、ただでさえ攻撃機会が少なかったにもかかわらず、前半ロスタイムに得た貴重なPKを、ルーニーがGKビクトル・バルデスに止められてしまっては、試合のリズムは悪くなるばかり。ベンチスタートとなった香川に出番が巡ってきたのは、そんな状況で迎えた後半開始からである。

 チームが圧倒的な劣勢の中で、ピッチに立った背番号26。だが、この新加入の日本人MFが試合の流れを変えた。マンU名将アレックス・ファーガソンが語る。
「(後半はじめの)シンジが入ったときが、今日の試合の中で我々にとって最もいい時間だった」

 後半開始からわずか4分、香川はペナルティーエリアのわずかに外でウェルベックからのパスを受けると、ゴール左下スミを狙って冷静に左足でシュート。その直後には、CKのボールをヤングとパス交換して左サイドを破り、角度のないところからニアサイドを狙って再び左足でシュート。いずれもGKにはじかれたため、「チャンスを生かさなきゃいけないので、結果を残せなかったのは残念」と、香川の自己評価は厳しかったが、交代で入ったばかりの選手が、その存在を印象づけるには十分なプレイだった。

 ところが、この一連のプレイが、むしろバルサの攻撃に火をつける結果となってしまうのだから、皮肉なものだ。香川が言う。
「慌てずに(試合に)入ることができたが、徐々に相手のボールポゼッションが高まってきて、なかなかラインを押し上げられなかったり、ボールを取っても前にひとりしか残っていなかったりで、ボールをキープできなかった」

 それでも香川は、どうにか奪ったボールを攻撃につなげようと踏ん張っていた。
「ボールを取ったあと、なるべく速く前へ攻めていこうと思ったし、(ディフェンスのプレッシャーを)ひとつふたつくぐり抜ければ、必ずチャンスになると思っていた」

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