2012.06.16

【EURO】至高の芸術。
「パスショー」だけではない王者スペインの強さ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

グループリーグ第2戦でアイルランドを圧倒したスペイン 少しばかり力の差がありすぎた。

 スペイン対アイルランドの試合を振り返ったとき、残念ながら、そう表現せざるをえない。

 試合開始からわずか4分、スペインはフェルナンド・トーレスのゴールで先制すると、その後もおもしろいようにパスをつないでチャンスを作り、ボールポゼッションでも決定機の数でも、アイルランドを圧倒し続けた。

 確かに、先制してから2点目を取るまでには、少々時間を要した。

 だが、その間の約45分間も、スペインはパスをつないでじっくりと攻撃を組み立て、わずかなパスコースを見つけだすと、シャビやシャビ・アロンソが鋭いスルーパスを通した。4万を超える観衆が、思わず声を上げてしまうシーンは、一度や二度ではなかっただろう。

 アイルランドにしても、手をこまねいて見ていたわけではない。易々とパスをつながせまいと、積極果敢にボールへ襲いかかり、人の動きを追いかけた。

 しかし、これがスペインのパスサッカーを助長させる結果となるのだから、皮肉なものだ。ボールに寄せてはかわされ、人の動きを追ってはスペースを衝かれた。特に試合序盤は、アイルランドらしい頑張りがむしろあだとなっていた。

 それにしても、シャビやイニエスタの技術というのは芸術的ですらある。ちょっとした体の向きやボールの止め方で相手の重心を動かし、楽々と逆を取ってしまう。さながらスペインの”パスショー”でも見ているかのような90分間だった。