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【EURO】オランダの贅沢で深刻な悩み。ふたりの得点王は共存できるか? (2ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 理想的なのは、ふたりがピッチで『共存』できることだ。そこで5月26日、ブルガリアとの親善試合でファン・マルバイク監督は、ストライカーにフンテラール、右ウイングにファン・ペルシーを置いてみた。しかし結果は、ふたりの連携はまるで見られず。ファン・ペルシーは豪快なゴールで結果を残したが、対するフンテラールは完全に沈黙したままだった。

 それを受けてオランダの新聞各紙は、「フンテラールとファン・ペルシーは、共存不可能なことがわかった」と騒ぎ出した。となると、EURO初戦のデンマーク戦でストライカーを務めるのは、結果を出したファン・ペルシーなのだろうか。南アフリカW杯でファン・ペルシーは不発に終わったものの、今年はアーセナルで人生最高とも呼べるピークの時期を過ごしている。よって代表でのファン・ペルシーの評価は、『だから~』という期待と、『でも~』という心配が、オランダ国民の間でさまよっている。「チームを作るために、早くストライカーのポジションを固めて欲しい」と、スナイデルも切望しているが、はたして開幕までに決着するのだろうか。

 一方、ファン・マルバイク監督にとって、『4-2-3-1』の後ろ6人に選択の余地はない。GKを含めて、デンマーク戦で守備を担う7人の先発は、こうなるに違いない。

GK マールテン・ステケレンブルフ
DF グレゴリー・ファン・デル・ヴィール、ヨン・ハイティンハ、ヴィルフレッド・バウマ、スタイン・スハールス
MF マルク・ファン・ボメル、ナイジェル・デ・ヨング

 オランダの場合、あまりに育成が攻撃に偏りすぎており、守備の選手層がとても薄い。W杯に出場した5人(GKステケレンブルフ、DFファン・デル・ヴィール、ハイティンハ、MFファン・ボメル、デ・ヨング)は安心できるものの、PSVでパフォーマンスが低かった超ベテランのバウマ、本来MFである即席左サイドバックのスハールスは、オランダにとって大きな穴と言われている。さらにバックアップメンバーが、ブルガリア戦でハムストリングを痛めたヨリス・マタイセンと、まだ18歳のイェトロ・ウィレムスでは、かなり心もとない。

 世界屈指のアタッカー陣を揃えるものの、守備陣の駒が不足している今大会のオランダ。W杯準優勝から2年後のビッグイベントとあって、オランダ国民の期待は高まるばかりだが、はたして1988年以来、24年ぶりの歓喜をつかむことができるのか。

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