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【ドイツ】香川真司が語った「ドルトムント序盤戦の苦闘」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

「監督からは特に話はなかった。でもそれが逆に“這い上がってこいよ”というメッセージだと思う。もう失うものもないわけだし、これからの自分が楽しみ。成長するチャンスだし、(ここで)何かを感じなかったらダメでしょう」

 10月21日、チャンピオンズリーグ・グループリーグ第3節、アウェーでのオリンピアコス戦に敗れたあとのことだ。ここまでの3戦でひとつも勝ち点をあげておらず、決勝トーナメント進出が厳しくなった。

「グループリーグ突破がかかった負けられない試合だというのはわかっていた。気持ちは入っていたけど、だからといって気負いなんてなかった。でも、どこかで丁寧にいき過ぎたり、慎重になった部分が結果に出たのかもしれない」

 その後、ブンデスリーガでは3勝1分けで、前半戦の天王山、第13節バイエルン戦を迎える。当時バイエルンは好調で、下馬評は圧倒的にバイエルン優勢。だが、香川のアシストでゲッツェが得点し、1-0勝ち切った。この頃から優勝の可能性がかすかに感じられるようになる。

「すばらしい結果だけど疲れました。もう1試合、これをやれと言われてもできるかな」

「テレビで見ていてもものすごい緊張感がある。実際にやってみると、一秒でも気を抜いたらやられる。ロッベン、リベリーはもちろん強かったし……。自分たちはいい状態だけど、今季のバイエルンはとても強いから、去年以上に警戒していた」

 当時の香川はまだまだバイエルンを格上と感じていることが見てとれる。ただ、その後中3日で迎えたチャンピオンズリーグ第5節、アーセナル戦ではあっさり敗れてしまう。

「バイエルンとあれだけの緊張感と集中が必要な試合をやって、すぐまたこんな大事な試合だったけど、あれ以上の緊張感を作り出せなかった」

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