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【Jリーグ】オシムの無茶ぶり「焼きそばの麺と具を分けて出してくれ」 佐藤勇人が知ったその意図とは... (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Yuhei Harayama

【「脱・オシム」に納得がいかず】

── アカデミー育ちの勇人さんが2008年に移籍を決断したことも、オシムさんがいなくなったことが影響しているのでしょうか。

「そうですね。あまりにもオシムさんが偉大すぎたので、クラブがオシムさんから離れようというふうになったんですね。『脱・オシム』じゃないですけど。それに対して僕にオファーをくれたクラブ(京都サンガF.C.)が『オシムさんのようなサッカーをしたいので、ぜひ来てほしい』と。そっちのほうがやりがいがあると感じたので、移籍を決めました。

 ただ正直、納得のいかなかった部分もありました。なんでオシムさんから離れる必要があるのかって。ヨーロッパのビッグクラブとかもそうじゃないですか。偉大な指導者の想いやカラーが継承されて、それが歴史になっていく。それをわざわざ手放す必要があるのかなって。そこはやっぱり納得いかなかったですよ」

── チームの中心選手として近くで見てきた勇人さんだけが知る、オシム監督の知られざるエピソードを教えてください。

「すでにいろんなところで話しているので、知られざるとまではいきませんが、オシムさんはあえてカオスを作るというか、僕ら日本人の固定観念を壊すことを、いろんなところでやっていましたね。

 これはクラブスタッフから聞いた話ですが、オシムさんがコーチと一緒に市原のお店にご飯を食べに行った時に、焼きそばを頼んだんです。その時、お店の人に『麺と具を分けて出してくれ』と注文したらしいんですよ。

 当然、お店の人はできませんと言うじゃないですか。そしたらオシムさんは『じゃあ、いくら払ったら麺と具を分けて出してくれるんだ?』って交渉したそうなんです。それでもお店の人はできませんと言って、結局普通の焼きそばが出てきたんですが、なぜオシムさんがそのようなことをしたかというと、別に意地悪でしたかったわけではないんですよ。

 これは僕らにもいつも言っていたんですけど、『いつ何が起きるかわからない。今まではこうだったからといって、これからもそれが正しいと思わないほうがいい』って。つまりオシムさんは、固定観念を壊すことを飲食店のおばちゃんにも試したわけなんです」

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