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【Jリーグ連載】ヴェルディがプロで戦える選手を輩出し続けられるのは"サッカーカンパニー"ではなく"サッカークラブ"だから (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada

 その問いに対し、選手と指導者、両方の立場でヴェルディのアカデミーを知る冨樫剛一(現横浜F・マリノスユース監督)は、「言い方にすごく気をつけないといけないなと思っているんですけど」と前置きしたうえで、こう答える。

「誤解を恐れずに言えば、他が"サッカーカンパニー"であるなかで、ヴェルディは"サッカークラブ"だからだと思います」

 冨樫は、ヴェルディで2014年途中から2016年シーズンまでトップチームの監督を務めたあと、2017年から2018年にかけての1シーズン、レアル・ソシエダで育成指導者向けの研修を経験した。日本では久保建英が所属することで有名なかのクラブは、スペイン有数の育成に優れたクラブとして知られる。

 冨樫は言う。

「ヴェルディは、育成だろうが、トップだろうが、全員が同じ空間のなかで、目的も含めて同じものを共有していて、全員がクラブの一員として認識されて切磋琢磨している。僕がそれをすごく正しいことだとあらためて認識できたのは、ソシエダにいた1年間があったからなんです」

 冨樫は、レアル・ソシエダのクラブハウス内にある育成ダイレクターの部屋に、いつもホワイトボードが置かれていたことを、強く印象に残している。そこに掲げられていたのは、"未来の布陣図"。2018年当時の未来、つまりは「今のソシエダがあの時、すでに描かれていたんですよね」と、冨樫は振り返る。

「今から7、8年前なので、(アンデル・)バレネチェアや(ベニャト・)トゥリエンテスが15、16歳くらいだったんですけれど、『誰々が(他クラブに)買われたら、そこには誰々が入って、こっちのポジションには何年生まれの誰々がいる』といった感じで、彼らの名前も盤上にあったんです。(マルティン・)スビメンディ(現アーセナル)も、そこに入っていましたね。

 ダイレクターは、『なあ、トガ。左サイドバックが薄いだろ。だから、ここをどうするかを考えなければいけないんだ』とか言いながら、もう(何年後かの構想が)ホワイトボード上に作られていて、それが選手の成長とともに、また入れ替わっていくんです」

 冨樫は、スペイン屈指の育成型クラブの内側を知り、感銘を受けると同時に、ヴェルディとの共通点を感じてもいた。

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