検索

ブラジル人記者「久々に本当のサッカーに触れた」 高校選手権決勝のレベルの高さを絶賛 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【勇気とイニシアチブを兼ね備えたプレー】

 鹿島のタイ人GK(プムラピー・スリブンヤコ)には目を見張った。彼は試合中に3つの奇跡を起こし、間違いなくピッチ上で最高の選手のひとりだった。彼のことは何も知らないが、タイ代表チームは今後何年もGKについて心配がいらないのではないかと思った。もちろん神村のGKもとてもレベルは高く、ゴールを守ったふたりはこの日の主役だったと言っても過言ではない。真のヒーローだ。

 もうひとつ私の興味を引いたのが、PKを取られた時に、選手が誰も審判に不平を言わなかったことだ。たとえ明白なPKであれ、ブラジルでは絶対に誰かが審判に詰め寄るはずだ。

 日本でサッカーがプロ化される前、ワールドカップへの出場がまだ夢でしかなかった1991年から、私はずっと日本サッカーを追ってきた。日本の成長をつぶさに見てきた。しかしこの日の午後、日本のサッカーがどこから生まれてくるのかを知ることになった。私は日本のサッカーについて、また新たな理解を得た。

 両チームの選手たちが高いテクニックを見せ、勇気とイニシアチブを兼ね備えてプレーしているのを見て、私は、サッカーは常にこうあるべきであると確信した。

 最近のサッカー界は、すべてにビジネスや政治が絡んでくる。選手の高額の移籍金や年俸、スポンサーの影響力......あるいはジャンニ・インファンティーノFIFA会長とドナルド・トランプ大統領の癒着もそうだろう。しかしこの日、奇しくも真に純粋でクリーンな、何よりも誠実なサッカーを見た。私は久々に本当のサッカーに触れた気がした。

 世界にも著名なユーストーナメントは数多くある。スウェーデンのゴシアカップ(ワールドユースカップ)、スイスのベリンツォーナ国際ユース大会、フランスのトゥーロン国際大会、イタリアのトルネオ・ディ・ヴィアレッジョ(ヴィアレッジョ・トーナメント)......。

 まさに今、私の住むブラジルはサンパウロでは、世界最大のユーストーナメントのひとつであるコパ・サンパウロ・ジ・フチボル・ジュニオルが開催されている。56回目を迎える今回は過去最多となる128チームが参加し、21日間をかけてブラジルで最も重要なユースタイトルを争う。しかし、この大会に参加できるチームは、上記に挙げた他のメジャーなユース大会同様、招待されたチームだけだ。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る