検索

【Jリーグ】選手の移籍金を高めるための努力 リーグとクラブが協働する施策とは? (2ページ目)

  • 舩木渉●取材・文 text by Wataru Funaki

【「リーグやクラブのブランド力を上げていく」】

 また近年、Jリーガーが海外移籍するたびに注目される"連帯貢献金"の活用も見逃せない。連帯貢献金とは、国際移籍のたびに、育成年代(12歳から23歳)でその選手を育てたクラブに対して移籍金の一部が分配される制度のことだ。

 日本人選手に対する評価が高まっているなか、Jクラブがうまく利益を上げるには、ルールを最大限に生かすことが重要になる。同時に「リーグやクラブのブランド力を上げていくフェーズになってきている」と述べたのは、小林氏だ。

「例えば同じ実力と金額のAとBという選手がいて、Aの所属クラブはブラジルのフラメンゴで、BはJ1のトップクラブだとします。ヨーロッパのクラブがどちらを獲得するかというと、現状ではAだと思うんです。それがブランド力の差です」

 横浜F・マリノスのトーゴ代表MFジャン・クルードは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝で横浜の試合を見たことが移籍の決め手になったと語っていた。このように国際大会で結果を残すことによって、Jリーグのクラブの知名度や評価は確実に上がっている。

 それでもヨーロッパから見るフットボールの地図上では、日本はアジアの東の端に位置する小国でしかなく、ブラジルやアルゼンチンに比べてあらゆる面で"距離"がある。ならば自分たちで努力してブランド力を高め、注目されるリーグにならなければならない。Jリーグは各クラブと力を合わせて、選手たちの価値の向上を目指した取り組みを始めている。

 小林氏は「リーグとクラブで一緒になって作っていく」改革の中身を次のように説明した。

「コンペティションのレベルを、ヨーロッパで行なわれているものに限りなく近づけていく。そのためにまず、リーグとしてできることは何かというと、レフェリングの基準。これはかなり大きな要素だと思っています。

 また、シーズン移行も重要施策のひとつです。夏場のJリーグの試合で選手を見ても、ヨーロッパのスカウトが『欲しい』と思えないのではないかと。年間の4分の1から3分の1を占めるこの時期の試合で、(猛暑によって)質がガクンと落ちてしまうのは、データを見ても明らかですから。猛暑の時期の試合数を減らすのは、リーグ全体の質を上げるための重要課題でした」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る