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【Jリーグ】復活の兆しが見えたマリノス 意を決したOB新監督のもと、浮上のカギは? (4ページ目)

  • 取材・文●舩木渉 text by Funaki Wataru

期待できる複数の新戦力が加入

 名古屋戦の勝利で約3カ月ぶりに最下位を脱出し、巻き返しの機運は高まっている。その傍らではフロントがJ1残留を果たすための補強に奔走し、夏の移籍ウィンドーでは多くの新戦力が加入した。3年半にわたって前線を牽引したアンデルソン・ロペスはシンガポールへと旅立ったが、スクアッドの厚みは増したと言えよう。

 いわきFCから加入して名古屋戦でJ1デビュー&初ゴールを挙げた谷村海那は、持ち前のプレーで早くもサポーターの心を掴んだ。「自分は守備でも貢献できる」という言葉のとおり、プレッシングをサボらず、前線でターゲット役にもなってくれるストライカーの存在は貴重だ。

 谷村のライバルになるであろうイスラエル代表FWディーン・デイビッドも、リバプール戦で大きな可能性を感じさせるプレーを披露した。動き出しや動き直しの回数が非常に多く、スペース認知やフィニッシュ精度に長けるため、チームメイトたちとの関係性を築ければ後半戦のキーマンになっていくだろう。

 同じくリバプール戦でデビューを飾ったユーリ・アラウージョも含め、夏の新戦力たちのフィット具合は今後の戦いを大きく左右する。さらに人一倍マリノスへの深い愛情を胸に秘め、誰よりも熱いファイティングスピリットを表現できる角田涼太朗の復帰が決まり、ディフェンスラインの堅牢さも増していくに違いない。

 今季のJ1残留ラインを40〜42ポイントと想定すると、マリノスは残り14試合で20ポイント前後を積み上げなければならない。難しいミッションであることは確かだ。しかし、状況は好転しつつある。

「マリノス、大丈夫?」という質問にも、「大丈夫」と断言はできないが、今なら「いける」と前向きに答えられる。逆襲の準備は整った。トリコロールの戦士たちは自分たちのアイデンティティを信じ、それを進化、そして深化させながら、貪欲に勝利だけを追い求めて突き進む。その先に、残留があると信じて。

(了)
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