【Jリーグ】復活の兆しが見えたマリノス 意を決したOB新監督のもと、浮上のカギは? (2ページ目)
OBの大島秀夫氏ヘッドコーチが監督へ
同じく残留争いをしていた新潟に屈した直後の6月18日、マリノスは再び監督交代に踏み切った。翌19日、キスノーボ監督を解任し、大島秀夫ヘッドコーチが暫定的にチームの指揮を執ることがクラブから正式発表されたのだ。
後任人事でも、ひと波乱あった。西野努スポーティングダイレクター(SD)は早い段階から別の候補に一本化して交渉を進め、本人との合意も取り付けていたが、細部の条件面で折り合わず土壇場で破談に。新監督の具体名も一部メディアで報じられていたなかでの招聘の失敗は、低迷するチーム内の混乱を象徴するような出来事になってしまった。
一方で大島コーチは自らが今季3人目の監督として責任を果たすべく、覚悟を決めていた。暫定的に指揮した6月21日のJ1第21節ファジアーノ岡山戦に0-1で敗れても、クラブや選手たちからの信頼は揺るがず。西野SDからあらためて監督就任の打診を受けた大島コーチは、岡山戦から3日後の6月24日に新監督に就任する。
「マリノスがこういう状況にあってはいけないと思うし、就任にあたってプレッシャーも感じていますけど、とにかくやらなければいけない。自分の全てを投げうってでもクラブのために。選手もそれぞれみんな戦っているので、その想いをしっかりと受け止めて。マリノスファミリーの皆さんも同じ思いでいてくれていると思うので、何とか最後に笑顔でいられるようにやっていきたいです」
就任会見での言葉の端々からは、決意の強さが感じられた。現役時代に自らの最盛期を過ごし、アカデミーやトップチームのコーチとして長く携わってきたクラブへの愛着も強い。そして、深く関わってきたからこそ、想いだけでなく再建への明確なプランも頭の中に描けていた。
大島監督は暫定的に指揮した岡山戦の前から、一貫して同じ方針を示してきた。ひとつは「選手、スタッフ、クラブのみんなでひとつになって作り上げること」、そしてもうひとつは「自信を持ってのびのび、アグレッシブに、ポジティブにプレーすること」。これらを原点とし、新たに呼び寄せた信頼するコーチ陣とともに、今後の戦い方を選手たちに示していった。
「もともとマリノスの中にあるDNAや文化、変わらないものがアンジェ(・ポステコグルー元監督)の時からあるはずなので、そこは最低限のベースにしないといけないと思っています。ただ難しい状況ではあるので、そういうところも加味しながら、選手全員がのびのびと躍動感を持ってできる体制をスタッフ全員で作り上げていきたいと思っています」
岡山戦前にそう語っていたように、まずは「ベース」の再構築が不可欠だった。昨季も含めてうまくいかない時期が長く続くなかで失われていた規律と規範を取り戻すべく、攻守両面における約束事や共通認識を再定義。スタッフ陣はこれを「交通整理」と呼んでいるが、ピッチ上で何をやらなければいけないのか、何をしてはいけないのかを選手たちに細かく伝え、練習で植え付けていった。
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