【クラブワールドカップ】3戦全敗に終わった浦和レッズと世界との差を議論するのは意味がない (2ページ目)
だがしかし、浦和がそうした課題を解消すべく戦力補強を図り、ひいてはアカデミーの育成・強化にも力を入れた結果、世界レベルの選手が次々に台頭してきたとして、そうした選手はほぼもれなく、ヨーロッパのクラブへと移籍してしまうのである。リーベル・プレートの17歳、フランコ・マスタントゥオーノのように。
つまり、浦和とインテルは、今大会に限ればライバル関係だったが、現実的には浦和はインテルに選手を吸い上げられる立場にあり、浦和の戦力がインテルのそれを超えることは、現状のサッカー界の仕組みのなかではあり得ないことなのである。
たとえば、これが代表チームであれば、話は単純でわかりやすい。
日本代表がワールドカップでグループリーグ敗退に終わったとして、選手が「次は突破できるように、また4年後、日本代表として戻ってきたい」と成長を誓うことは、至極当然の話である。成長した彼がプレーできる場所は、次も日本代表しかないからだ。
だが、浦和がクラブワールドカップでグループリーグ敗退に終わった場合、選手が「次は浦和ではなく、インテルの一員として、この舞台に戻ってきたい」と考えたとしても、何らおかしな話ではない。むしろ、そう考えるくらいのほうが、向上心が強い、とさえ言えるのかもしれない。
だからこそ、今大会の結果を受けて、浦和は世界との間にどのような差があって、それを埋めるにはどうしたらいいのか。そんな議論には、あまり意味がないように感じてしまう。
現状においては、日本と世界トップレベルのクラブチームとの差は、絶対に埋まらない仕組みになっている。それは、浦和に限った話ではなく、鹿島アントラーズだろうが、ヴィッセル神戸だろうが、同じこと。一クラブの頑張りで、どうこうできる話ではない。
ただし、Jリーグ全体として受け止めるべき課題は明確になった。
「やっぱりJリーグでの環境が本当に大事になってくる。Jで緩いプレー、ぬるいプレーをしているようでは、(クラブワールドカップのような大会で)結果も出ない。Jでは大丈夫(なプレー)でも、こういう場所では通用しないというところは全員が感じられたと思う」
浦和のベテランGK、西川周作がそう話していたが、彼の言葉を借りるまでもなく、世界的に見れば、Jリーグのサッカーはまだまだ緩さが目立つ。
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