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横浜F・マリノスの「その場しのぎ」は続く 残留は「偶然性にかける」しかないのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 横浜FMはそのプレスにまんまとハマり、自陣で何度もボールを失った。奪い返したところを再び奪われ、切り替えでも劣勢に立っていた。前半は同じようなミスを繰り返し、手も足も出なかった。

 これで、どこが次につながるのか?

 失点後、横浜FMは反撃に転じていた。外野は「なぜ最初からそれができないのか」となるだろう。しかし、それは相手が守りに入って、横浜FMが無理矢理でもボールを運び、突っ込んで混乱を起こした"瞬間最大風速"に過ぎない。実際、5分と続かなかった。試合の流れで生まれた"現象"にすぎず、再現性はない。後半、攻めに回れたのも相手が「守る」構図を作ったからだ。

 横浜FMの現体制に出口はない。粉骨砕身で、祈るしかないだろう。拠るべき「仕組み」はないからだ。

「戦う気持ちを見せろ!」「最後まで走れ!」「歴史あるクラブの名を汚すな!」......。

 それらは呪いの言葉で、相手も死力を尽くしてくることを度外視している。しかし、選手は戦い抜くしかない。非効率的ななかでも走り続け、運よくカウンターからゴールに放り込めたら、あとは我慢強く耐える。偶然性にかけるしかない。

 6月25日、日産スタジアム。横浜FMはやはり低迷するFC東京と残留をかけた"裏・天王山"を戦う。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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