【Jリーグ】混戦のJ1で輝く選手は誰か 識者が選んだ前半戦のベストイレブン
2025 J1前半戦ベストイレブン 前編
J1は第19節まで消化し、ちょうどシーズン前半戦が終了した。開幕から依然混戦が続いているが、そのなかで活躍が目立つ選手は誰だろうか? 識者にここまでのベストイレブンを選んでもらった。
【今季のJリーグで最大の発見】
原山裕平(サッカーライター)
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MF/渡邊凌磨(浦和)、小泉佳穂(柏)
MF/安西幸輝(鹿島)、熊坂光希(柏)、マテウス・ブエノ(清水)、ルーカス・フェルナンデス(C大阪)
DF/古賀太陽(柏)、荒木隼人(広島)、植田直通(鹿島)
GK/早川友基(鹿島)
今季は3バックを採用するチームが増えているため、ベストイレブンも3-4-2-1の布陣をベースに選考した。
首位ターンを決めた鹿島からは4人を選んだ。実は比較的攻め込まれる試合の多い鹿島が首位に立てているのも、最後の砦として好守を連発する早川友基の存在があるからだろう。同様に植田直通も全試合にフル出場を果たし、守備の安定を担保している。
一方で攻撃では、果敢な攻め上がりと高精度クロスでアシストを量産する安西幸輝が際立った働きを見せている。そして仕上げ役を担うのはレオ・セアラだ。チームが変わってもその決定力の高さは健在で、覇権奪回のラストピースとなり得るだろう。
リカルド・ロドリゲス監督の下で驚きの変貌を遂げた柏からは3人を選出した。最終ラインを支える古賀太陽は守備の安定感に加え、正確なビルドアップと鋭い縦パスを操り、攻撃面での貢献度も高い。
熊坂光希は今季のJリーグで最大の発見と言える存在だろう。長身を利した守備力に加え、シンプルに前につけられるのも強みで、その活躍が評価され日本代表にまで上り詰めている。そして浦和時代にもリカルド・ロドリゲス監督に師事した小泉佳穂は、新たなスタイルの体現者としてチームを牽引。卓越した位置取りと鋭いスルーパスを駆使し、柏の攻撃に勢いをもたらしている。
リーグ最少失点の広島では、荒木隼人が出色の働きを見せている。とりわけロングボールをことごとくはね返すエアバトルの強さは群を抜き、得点でもチームに貢献できる頼もしい存在だ。
消化試合数が多いとはいえ、3位につけている浦和からは渡邊凌磨を外すことはできない。途中からトップ下に移って以降、存在感をより高め、印象的なゴールを連発している。
リーグ最多得点を記録するC大阪ではブラジル人3トップが猛威を振るっているが、なかでも右ウイングのルーカス・フェルナンデスの貢献度が極めて高い。精度の高い右足キックからすでに昨季を上回る11のアシストを記録。リーグ屈指の突破力も備えているだけに、後半戦も相手にとって脅威となることは間違いない。
個人的に最も印象的に残ったのは、清水のマテウス・ブエノだ。フィジカルを生かした潰し屋としての能力を備える一方、自陣でプレスをかけられても失わない巧みなボールコントロールが光る。視野の広さと判断力にも秀で、タイミングよく前線に打ち込む縦パスはまさに絶品だ。今季、新たにJリーグに加入した外国籍選手のなかでは最もクオリティの高さを感じられる選手である。
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著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。