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興梠慎三が選ぶ対戦して嫌だったDF10人 思い出すのは「駆け引き上手」「腕の強い」選手たち (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【ねちっこく、へばりついてくる】

1位 槙野智章(元サンフレッチェ広島、浦和レッズほか)

 広島時代はそこまですごいイメージはなかったんですけど、浦和で一緒にプレーして、紅白戦でマッチアップした時ですよね。彼も腕が強くて、彼の前に入ったら90%くらいの確率で取られていた感覚です。

 そして、腕で抑えられて動けない状況から、彼は足が伸びてくる。そこが森重選手と違うところでした。そこでボールを突かれて......。こぼれ球が運よく味方に行ったとしても、個人的には負けでした。

 本当にねちっこいというか、へばりついてくるんですよ。だから簡単に抜けない。あれはファウルだと思うんですけど、ボールを突いているからなのか、ファウルに見えないようにへばりつくのがうまかったですね(笑)。

 2017年のACL準決勝で、対戦した上海上港にフッキ選手がいたんですよ。そこをどう抑えるかとなった時に、とりあえず槙野をつけようと。そうしたら彼がフッキ選手を完封して、槙野のおかげでACLを優勝できたと言っても過言ではないくらい、本当にすごかったですね。

 それと印象に残っているのが、プレーとは関係ないんですけど、槙野が試合で円陣を組む時に「ラグビーのニュージーランド代表がやっている『ハカ』をやろう」と言い出して、みんなに動画まで送ってきたことがあったんですよ。

 あれは体がゴツいラグビー選手たちがやって、ハカというものをみんな知っているから盛り上がるわけで、ヒョロヒョロしたやつらがやっても恥ずかしいし、ドン引きされるだけだから「絶対に無理」と、僕と阿部ちゃん(阿部勇樹)は言ってて。あれは本当にやらなくてよかったですね(笑)。

興梠慎三 
こうろき・しんぞう/1986年7月31日生まれ。宮崎県出身。鵬翔高校から2005年に鹿島アントラーズ入り。2007~09年の鹿島のリーグ3連覇に貢献。2013年からは浦和レッズでプレーし、9シーズン連続二桁ゴールなど得点を量産。AFCチャンピオンズリーグ制覇ほか数々のタイトル獲得に貢献した。2022年は1シーズン北海道コンサドーレ札幌でプレーし、浦和に復帰。J1通算2位の168ゴールを記録し、2024年シーズンを最後に現役を引退した。2025年から浦和のパートナー本部パートナー営業担当とアカデミーロールモデルコーチとして活動している。

著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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