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興梠慎三が選ぶ対戦して嫌だったDF10人 思い出すのは「駆け引き上手」「腕の強い」選手たち (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【腕が強い選手が嫌】

4位 チアゴ・マルチンス(ニューヨーク・シティFC)

 横浜F・マリノス時代に対戦したチアゴ・マルチンスは、とにかく速くて、強かった。僕はなるべく彼とは反対のCBと勝負していました。それで裏を取って、FWとしては完全に勝ったなという状態。こっちはもう「GKと1対1だ」と思っていたら、逆サイドからスピードで追いつかれてブロックされてしまう。

 ものすごい勢いで、ひとりだけバイクにでも乗っているんじゃないかと。「これでダメなら俺はなにをすればいいんだ」と思わせるくらい、本当に打開できなかったCBでしたね。僕は彼から点を取ったことがなかったです。

 彼のあのスピードと強さがあったから、当時の横浜FMのディフェンスラインは、あれだけのハイラインを保って守れていたんだなと思います。

3位 坪井慶介(元浦和レッズほか)

 高卒で鹿島に入団して、初めて先発で出て、「ここで結果を出せばスタメンを勝ち取れる」という大事な試合が浦和戦だったんですよ。当時僕はMFで出ていて、その時に対峙したのが坪井さんでした。

 スピード勝負で全部取られて、「あ、プロの世界って、こういう人が第一線で活躍するんだな」と。当時、坪井さんはもう日本代表に入っていたので、「こういう人が代表なのか」とも思いました。

 結局、前半で交代になって、それから一時はメンバーにも入れないことが続きました。だから、坪井さんに会ったら毎回のように「坪井さんのせいで、僕が活躍するのに時間がかかった」と話しています(笑)。

 スピードはもちろんですけど、間合いの取り方がうまいんですよね。坪井さんのイメージがわかるというか、仕掛けられた網のなかに自分で入っていくみたいな感覚でした。

2位 森重真人(FC東京)

 塩谷選手の時にも話していますが、僕は腕が強い選手が嫌なんですよ。その点で、森重選手はJリーグのなかで一番腕が強い選手ですね。彼の腕が届く範囲に入ってしまうと、ほとんど腕で抑えられてしまって、僕からしたら一番嫌なDFでした。

 しかも彼はその強さだけではなくて、足元の技術があって、攻撃のセンスも高い。チームメイトに森重選手みたいな人がほしかったなと思うくらいですね。

 彼とマッチアップした時は、なるべく手が届く範囲に自分からは入り込まないようにしていました。ちょっと距離を置いて、スピードで勝負したり、味方とのコンビネーションで勝負していました。でもそう簡単にいかないのが森重選手でしたね。

 だからといって、彼から離れて違う選手と勝負するのは、負けた気がしてすごく嫌でした。いいDFだからこそ、ストライカーとしてそこを上回りたいし、勝った時の気持ちよさは格別でした。

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