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興梠慎三が選ぶ対戦して嫌だったDF10人 思い出すのは「駆け引き上手」「腕の強い」選手たち

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

興梠慎三が選ぶ対戦して嫌だったDFトップ10

 昨シーズンを最後に現役を引退した興梠慎三氏に、ここでは自身がこれまで対戦してきたなかで嫌だったDFを10人挙げてもらった。FWを困らせる優秀なDFには、いくつかの共通点があるようだ。

前編「興梠慎三が選ぶ日本サッカー歴代FWトップ10」>>

昨年浦和レッズで引退した興梠慎三氏に、これまで対戦したなかで嫌だったDFを挙げてもらった photo by Getty Images昨年浦和レッズで引退した興梠慎三氏に、これまで対戦したなかで嫌だったDFを挙げてもらった photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る【動画】↓↓↓

【絶妙な距離感にいるDF】

10位 冨安健洋(アーセナル)

 僕がリオ五輪にオーバーエイジで参加した時、帯同メンバーに当時高校生の冨安選手がいたんですよ。もちろん、その時は彼のことを知らなかったです。

 紅白戦では彼がセンターバック(CB)にいて、高校生なのに当たってもブレない。プロで活躍してるDFと遜色ないくらい体が強くてびっくりしました。しかも足元の技術もあって1対1も強くて、「うまいなぁ」と思ったんですよ。それでリオ五輪から帰ってきて「じつは高校生で、すごくいい選手がいるから絶対取ったほうがいいですよ」と浦和の人に言ったくらい。衝撃でしたね。

 その後はとんとん拍子に日本代表の中心になって、アーセナルまで上り詰めて、「ほら、取れって言ったじゃん!」という感じでしたね(笑)。今の活躍はすごくうれしいです。ケガに苦しんでいますけど、彼は日本サッカーにすごく大事な存在なので、焦らず治してほしいですね。

9位 岩政大樹(元鹿島アントラーズほか)

 岩政さんとは鹿島時代に一緒にやっているんですけど、練習でも1対1の強さ、空中戦の強さはずば抜けていました。あと、とにかくうるさい(笑)。指示の声が当時は「うるせえなぁ」と思ってたんですけど、それはすごく大事なことなんですよね。

 ああいう声を出せる存在が、後ろには必要だと思います。今は北海道コンサドーレ札幌でもすごく熱い監督というのが伝わってくるし、「変わってないな」と思いながら見ています。

 あと、彼のすごいところは、セットプレーで点を取るところ。常に彼の頭にボールが吸い寄せられていくんですよね。なんかそういう能力があるのかなというくらい。しかもそれを決めるんですよ。鹿島が3連覇できたのは、彼の存在がすごく大きかったと思います。

8位 山本英臣(ヴァンフォーレ甲府)

 甲府のレジェンドですよね。甲府がJ1にいる時はいつも彼が出ていて、マッチアップしていました。特別に体が強いわけではないんですけど、なんか嫌なところにいるんですよね。

「あれ、フリーなのかな? マークにつかれているのかな? 今どっちだ?」みたいな感覚にさせられる絶妙な距離感にいるんですよ。FWはDFを手で触って距離感をつかみたいものなんですけど、その手が届かない。「じゃあフリーなのかな」と思った瞬間に、ガツっと寄せられる。

 目立ったプレーとかはないんですけど、そういった駆け引きがめちゃくちゃ上手でした。そうしたうまさがあるから44歳の今も現役を続けられるんでしょうね。44歳まで続けるというのは、ちょっと想像がつかないです。

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著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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