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「マテウス・サヴィオはポンテ級」 補強成功の浦和レッズほか、セルジオ越後が今季の躍進を期待するチーム (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【東京Vは今季もそこそこやる】

 一方、補強効果が早速見えたのが浦和レッズだ。例年同様、オフに多くの選手を獲得したけど、そのなかでもMFマテウス・サヴィオ(柏レイソル→)は別格。新加入なのに、すでに攻撃を完全に仕切っている。チームに及ぼす影響力という点では、(2005年から2011年まで在籍したMFロブソン・)ポンテ級のインパクトがある。

 となると、あとは彼がお膳立てしたチャンスをチームメイトがどれだけ決められるか。開幕節の神戸戦では決めきれなかったよね。その意味で、シーズンのカギを握るのは、ワントップを務めるFWチアゴ・サンタナだ。昨季は二ケタの12得点を挙げたけど、勝利を決めるようなゴールは少なく、絶対的なエースとは言えなかった。実際、ベンチスタートの試合も多かった。でも、同じブラジル人のサヴィオとは意思疎通がしやすい。少なくとも今季は昨季以上のゴールを求めたいね。

 浦和が優勝を狙えるかというと、ポジションごとの選手の人数バランスが悪いのが気がかり。特に両サイドバックが手薄。ただ、少なくとも昨季(13位)のようなひどいことにはならないよ。リーグの盛り上がりを考えても、頑張ってもらわないと困るチームだ。

 個人的に昨季の一番のサプライズだった東京ヴェルディ(6位)は、開幕節(vs清水エスパルス)に負けたものの、今季もそこそこやってくれるはず。

 予算規模の小さいチームだけに、オフに主力選手をごっそり引き抜かれてしまうのかと思っていたけど、主将のMF森田晃樹をはじめ、そのほとんどが残留した。城福浩監督のもとでやるサッカーに、選手たちがそれだけ魅力を感じているということだろう。攻撃のアクセントとして、今後、外国籍選手をひとりかふたり加えられれば、昨季以上の驚きを見せられるかもしれない。

 ただし、残念ながら、今の東京Vのフロントにそこまでの野心はなさそう。お客さんも着実に増えていて、「ヴェルディ」ブランドの根強さを感じるし、チャンスだと思うんだけどね。

 その他のチームでは、毎年のように主力を引き抜かれながらも、見ていて面白いサッカーをして、J1残留を続けているアルビレックス新潟には、樹森大介新監督を迎えた今季もなんとか頑張ってほしい。

 また、昨季19得点を挙げたFW山田新や、日本代表デビューを果たしたDF高井幸大といった下部組織出身の若手が台頭してきた川崎も、長谷部茂利新監督のもとで勝ちグセがついてきたら面白い。もっとも、そのふたりが活躍しすぎると、夏にも海外移籍してしまうかもしれないから、サポーターとしてはジレンマだね。

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著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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