セルジオ越後が「いずれ日本代表に呼ばれる」と推す逸材 Jリーグ昨季上位3チームの現在地
セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(3)
昨季、17歳でJデビューを果たした広島のMF中島洋太朗 photo by Kyodo News
2025年シーズンのJリーグが開幕した。監督の交代、即戦力の補強、主力選手の流出など、各チームの台所事情はさまざま。今季も大混戦が予想されるなか、ご意見番のセルジオ越後氏に、まずは昨季、熾烈な優勝争いを繰り広げた3チームの評価を聞いた。
【今季も神戸は手堅い】
今季も昨季同様の大混戦になりそうだね。それが開幕節を見ての率直な感想だ。ただ、優勝争いとなると、3連覇を狙うヴィッセル神戸、昨季2位のサンフレッチェ広島の2強が軸になるだろう。
まず神戸。今季も手堅いよ。
MF山口蛍(→V・ファーレン長崎)、DF初瀬亮(→シェフィールド・ウェンズデイ)が抜けた一方で、目立った補強はなし。加えて、シーズン早々からスーパーカップ、ACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)と続く過密日程。DF酒井高徳、MF井手口陽介、FW宮代大聖、FWジェアン・パトリッキと主力のケガも相次いでいる。ベテランが多く、選手層の厚さに不安があるチームだけに、吉田孝行監督もやり繰りには苦労しているだろう。
迎えた開幕節の浦和レッズ戦は、前線からのプレスがうまくかからず、相手に主導権を握られ、決定的チャンスを何度もつくられた。浦和の攻撃のキーマンであるMFマテウス・サヴィオを気持ちよくプレーさせてしまっていた。
でも、それでも神戸は負けなかった。それがこのチームの強みだね。思うようなサッカーができなくても、粘り強く守って、逆に試合終了間際にはビッグチャンスもつくり、勝ち点3を奪っていてもおかしくなかった(最終スコアは0-0)。
昨季の天皇杯優勝時にも思ったのだけど、一昨季、昨季とJリーグを2連覇するなかで、チームが"勝ち方"を身につけた印象だ。今季もシーズンを通して大崩れすることはないんじゃないかな。
また、今季はエースのFW大迫勇也のコンディションがよさそうだね。一昨季のようなすごみのあるプレーを見せてくれるかもしれない。移籍の噂があった昨季MVPのFW武藤嘉紀の残留もプラス材料。ACLEとの連戦が続く序盤を乗りきれば、故障者も戻ってくるし、安定した強さを取り戻すと思う。
1 / 2
著者プロフィール
セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】