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セルジオ越後が「いずれ日本代表に呼ばれる」と推す逸材 Jリーグ昨季上位3チームの現在地 (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【注目しておいて損はない18歳のMF

 昨季2位の広島はスーパーカップ、ACL2(AFCチャンピオンズリーグ2)、開幕節のFC町田ゼルビア戦、ACL2と公式戦4連勝の好スタートを切った。2022年以降、3位、3位、2位という結果を残してきたミヒャエル・スキッベ監督体制の4年目。監督のやりたいサッカーが選手に浸透しているので、今季も好不調の波は少ないだろう。

 いいGK(大迫敬介)がいて、DF佐々木翔とDF塩谷司の両ベテランが健在で、1対1にめっぽう強いDF荒木隼人が中央に構える3バックも相変わらず強力。守備は計算できる。

 一方、前線は外国籍のFWが一気に3人も退団したのが気になる。ただ、その穴埋め的に、昨季日本人最多タイの19得点を決めたFWジャーメイン良(ジュビロ磐田→)を獲得した。大卒ルーキーのFW中村草太も好調だけど、広島が優勝するためには、実績のあるジャーメインが昨季並みの活躍をできるかどうかがポイント。すでにチームになじみ、攻撃の軸としての役割を十分に果たしていると思うけど、あくまでゴールを最優先に求めたい。

 ちなみに、個人的にはU-20日本代表のボランチ、MF中島洋太朗に注目している(U-20アジアカップに出場中)。昨季もよかったし、今季もスーパーカップでのプレーを見たけど、技術があって、中盤で冷静にボールをさばいて、ゲームをコントロールできる。タイミングを見ての攻め上がりもいい。(元日本代表MFの)遠藤保仁っぽい選手。18歳にしてセットプレーのキッカーもまかされていて、チームメイトにも信頼されているようだ。このまま成長すれば、いずれ日本代表に呼ばれるだろう。今から注目しておいて損はないと思う。

 昨季J1初挑戦で3位と健闘した町田は、苦労しそうだ。

 今季もロングボールとカウンター主体のサッカーは変わらない。よく言えばシンプルな、悪く言えば単調なスタイル。昔の高校サッカーっぽい。面白いかどうかはともかく、あのサッカーをあそこまで徹底できるのはたいしたものだし、初対戦のチームが多かった昨季はそれがハマることが多かった。ただ、さすがに昨季と同じようにはいかないだろう。相手も対策を練ってくるからね。

 神戸と広島とはキャスティングとサッカーの内容で差がある。秋には初めて出場するACLEもあり、過密日程も控えている。そう考えると、優勝候補には挙げにくいよ。

(4)につづく>>「マテウス・サヴィオはポンテ級」 補強成功の浦和レッズほか、セルジオ越後が今季の躍進を期待するチーム

著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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