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【Jリーグ】移籍状況で見る「今季苦戦しそうなクラブ」は? 昨季主力の引き抜きが厳しい (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【相対的な戦力低下を感じるクラブ】

 FC東京は昨季限りでブラジル人FWディエゴ・オリヴェイラが引退。7シーズンに渡ってチームを支えた大ストライカーを失った穴は、サガン鳥栖からマルセロ・ヒアンの獲得で埋められる目処は立った。

 MF橋本拳人がエイバルから5シーズンぶりに復帰というのも大きな補強ではある。ただ、昨季のキーマンだったMF荒木遼太郎が鹿島アントラーズに復帰し、MF原川力が柏へ移籍したことを考えるとどこまでのプラスと言えるか。

 また、DF木村誠二が鳥栖から復帰したことは守備陣の補強と言えるが、昨季のチームから上積みとなる補強ができたかと言われると正直そこまでではない。

 浦和レッズやアビスパ福岡、名古屋グランパスなど、昨季の順位が下のクラブが軒並み補強に成功していることを考えると、相対的に戦力ダウンと言える。松橋力蔵新監督の手腕によってそれをプラスにできるか注目だ。

 湘南ベルマーレは主力級の入れ替えは多くはなかった。しかし、MF田中聡が抜けた穴はあまりに大きい。アンカーでの守備能力の高さは国内屈指で、同等の選手を国内で探すのは至難の業だ。

 補填として川崎フロンターレからMFゼ・ヒカルドを期限付きで獲得したものの、川崎で出場機会をあまり得られなかったことを考えると、田中という絶対的な存在の穴埋めとなれるかは疑問が残る。

 今季の移籍状況を総括すると、チームへの影響力が非常に高かったレオ・セアラや田中聡のような選手が上位クラブへ引き抜かれ、昨季の上位グループの多くが補強に成功した。

 戦力格差があまりないことがこれまでのJリーグの特徴だったが、今季はややそのバランスにも偏りが生まれてきたように感じる。

 ここから相対的に見て戦力低下と感じるクラブが、どんな補強をするのか、あるいはチームとしてどう補っていくのか注目したい。

著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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