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高校サッカー選手権「PK戦で涙」流経大柏が示した高い人間性 悔しさはあっても後悔はない (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【55分の決定機をモノにできていれば】

 立ち上がりの先制点は、まさに流経大柏らしいものだった。インターセプトを狙ったMF飯浜空風の鋭い守備と亀田の卓越した個人技が融合し、攻撃に転じようとした前橋育英の出鼻を容赦なくくじいた。

「狙っていましたし、前半にチャンスが少し来るかなと思っていて。自分はシュートを打たないと乗っていかないスタイルなので、最初のシュートを打ってから乗れて、ああいう得点を取れたのは本当によかったです」

 J2のカターレ富山入りが決まっている亀田は、この試合でも際立った存在だった。得点だけではなく、華麗なドリブルで推進力と時間を生み出し、ズバッと刺すスルーパスでチャンスも作った。亀田のパスを起点に生まれた55分の決定機をモノにできていれば、結果はまた違うものになっていたかもしれない。

 悔やまれるのは、31分の失点場面だ。左サイドに相手を追い込みながら、意表を突くドリブルに突破を許してしまう。この時、中央の守備陣は一瞬、集中力を欠いていたのかもしれない。後方から入り込んできた相手をフリーにしてしまったのだ。

「相手の15番(FW佐藤耕太)が自分と奈須(琉世)の間にいて、そこが一番のターゲットだと思ったので自分がついたんですが、スペースに入り込んできた13番 (MF柴野快仁)にやられてしまった。一瞬の判断でしたけど、あの場面は悔やまれます」

 キャプテンマークを巻き、センターバックを務めるDF佐藤夢真は悔しさを押し殺し、そう話した。

 そもそもこの失点場面より前から、守備がうまくはまっていなかったという。そう感じていたのはもうひとりのキャプテンで、佐藤とともに最終ラインを支えるDF奈須琉世だ。

「前半からいつもの自分たちらしさが出せなかった。前橋育英さんはすごくテクニカルなチームで、ポゼッションがうまかったので、いつもの自分たちの強度であれば外されなかったところで外されたり、個の突破も許してしまった。

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