梅崎司は京都サンガのコーチから監督を目指す「シャムスカ、ミシャ...指導者の方たちの教えは金言ばかり」 (4ページ目)
【すべてが財産になっているのは間違いない】
── プロサッカー選手として過ごした20年間で多くの監督に出会ってきました。その経験も活かせるのではないでしょうか?
「プロ2年目に出会った(ペリクレス・)シャムスカ監督は、選手自身に長所に目を向けさせ、自信を持ってプレーするマインドにしてくれる指導者でした。選手を引退する時にも、感謝を伝える機会を設けてもらったのですが、その時にも指導者としての心構えや、彼自身が大切にしていたことなど、アドバイスをもらいました。
浦和で多くの時間を過ごしたミシャさん(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)は、それまで自分が持っていなかったサッカー観を与えてくれ、サッカーへの幅を広げてもらいました。間違いなくその後のサッカー選手人生に活きましたし、ふたりを筆頭に出会ってきたすべての指導者の方たちの教えは、今後に活かせる金言ばかりだったと思っています」
── 自身の経験も活かせるのではないでしょうか。若いころには海外移籍も経験、また何度もケガを乗り越えた経験もあります。チームでは、優勝はもちろん、優勝争いや残留争いも経験しています。
「すべてが財産になっているのは間違いありません。いろいろな状況、いろいろな立ち位置を経験しているので、その時、その時で伝えられること、見えることもあると思っています」
── 最後に、プロサッカー選手として駆け抜けた20年間はどんな日々でしたか?
「自分と向き合い続けた20年間だったように思います。僕、『内省』という言葉が好きなのですが、よく自分のことは自分が一番わかっていると言いますけど、僕は違うと思っていて。意外に自分の本心やなりたい自分には、自分でフィルターをかけてしまっていたり、周りに流されてしまうこともあると思っています。
それはレベルが高くなればなるほど、合わせる作業も増え、その傾向は強くなっていく。だからこそ、自分はどうなりたいのか。そこに向き合い続けてきた20年間でした。その思いや願い、夢について大きなところを見ていた時もあれば、それが小さくなっていった時もありました。
でも、その時の自分にできる範囲で、もがき続けてきました。その考えや意識は確実にピッチでのプレーに反映されていましたし、プレーヤーとして成長すると同時に、人としても成長できた時間だったと思っています」
<了>
【profile】
梅崎司(うめさき・つかさ)
1987年2月23日生まれ、長崎県諫早市出身。2005年に大分トリニータU-18からトップチームへ昇格し、翌年にはレギュラーに定着。同年8月には日本代表デビューを果たす。2007年1月にフランス・グルノーブルに期限付き移籍でプレーしたのち、同年12月に浦和レッズに移籍。2018年から湘南ベルマーレ、2021年から大分トリニータで活躍し、2024年11月に現役引退を発表した。ポジション=MF。身長169cm、体重66kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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