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Jリーグでプロ入り10年のキム・ミンテ「自分を映画の主人公だと思って生きている」 (4ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【ベルマーレになかったものをプラスしていく役割】

 決断を繰り返し、時に失敗もし、キム・ミンテは2023年シーズンの夏に期限付き移籍で湘南ベルマーレにたどり着いた。2024年シーズンからは完全移籍に移行している。

「ボールを握りたい、というサトシさん(山口智監督)のサッカーに惹かれました。そこに自分の持っているスピードという特長も生かせるのではないか。理想のサッカーと自分に合うサッカーが少し別だというのも、鹿島時代に知ったことでしたし。そして何より、ベルマーレになかったものをプラスしていく役割も期待されてのオファーだったと思います」

 実際に、J1残留争いに身を置いていた2023年シーズンに、ベルマーレの練習に参加して感じるところはあった。

「練習からみんなを"燃やしたい"と思いました。燃える状況に置きたい。アントラーズと違ってベルマーレは『練習はあくまで練習』という雰囲気で、かつ真面目すぎました。だから声をかけ合って、厳しいところは厳しくいこうと。アントラーズだと、練習から勝負にこだわっているんです。5対5のゲームで負けたらペットボトルを蹴っ飛ばすくらいに悔しがる。一方、勝ったチームはスマホで記念撮影してるくらいですから」

 2024年シーズンは、山口智監督からキャプテンをまかされた。最初はあまり気の進むものではなかったという。

「外国人だし、スポンサー企業とお話する際にもうまく話せないことがあると思うけど、大丈夫かなと思いました。でも、さっきの"燃える"話じゃないですけど、サトシさんは、そういうタイプがベルマーレには少ないと考えたんだと思います」

 山口監督は、ユース時代にボランチでも少しプレーしていたことを後に聞いた。ますます共感し、その理想のサッカーをピッチで具現化したいと思う。それも、ここまでのJリーグでの経験も生かしながらだ。

「最初はそのまま表現したいと思っていたんです。でも、やっぱり自分がやりたい部分も出てきた。ミシャさんに教わった点の影響もあると思います。だけど、今季後半はチームのことを考え始められるようになってきたと思います。自分の主張を曲げてでも、たとえ自分が持ち味を発揮できなくとも、チームのためにサトシさんのやりたいことをやろうと。テンポを速くして、ボールを速く渡す、といったところですね」

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