浦和・宇賀神友弥が振り返る、埼玉スタジアムでのラストゲーム「あの時、見た夢は、ここに続いていたのかもしれない」
引退インタビュー
宇賀神友弥(浦和レッズ)前編
2024年12月8日、宇賀神友弥は15年に及ぶ選手生活に別れを告げた。
試合後に埼玉スタジアムで行なわれた引退セレモニーでは、浦和レッズのアカデミーで育った彼らしく、アカデミーに在籍する子どもたちに見守られながらレッドカーペットを歩き、ステージに上がった。
「今シーズン、『引退しに浦和レッズに帰ってきたわけではない』と豪語して帰ってきましたが、チームの力になることができず、もどかしい日々を過ごしました。ただ、今、横で聞いてくれているチームメイトたちは、僕が日々100パーセントでプレーする姿を、背中を見続けてくれたと思っています」
選手として過ごした最後の1日、そして引退スピーチにこめたメッセージについて聞いた。
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宇賀神友弥に現役最後の試合を振り返ってもらった photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── ホームの埼玉スタジアムで行われた引退セレモニーは、宇賀神選手らしさがあふれていました。あらためて15年に及ぶプロサッカー選手生活を終えた今の心境はいかがですか?
「本当にスッキリしています。一時は、選手を引退するかどうか、それとも来季も続けるのかどうかで悩んだ時期もありました。その期間は気持ち的にきつかっただけに、(引退を)決断してからは精神的にもスッキリしました。だから試合を終えて、あらためて(選手として)やりきったと思うことができました」
── アルビレックス新潟との最終節でメンバー入りすることがわかってからは、どのような思いで過ごしていましたか?
「できればスタメンで、(興梠)慎三くんや周ちゃん(西川周作)、原口(元気)、関根(貴大)といった、長い時間をともに過ごした選手たちと、一緒にプレーしたかったというのが本音です。でも、監督から事前に『スタートから試合に出ることはない』と言ってもらっていたので、いつもどおり準備しようと。
また、クラブからチケットが完売しているという話も聞いていたので、ファン・サポーターで満杯になった埼玉スタジアムの記憶をたどり、またその環境でプレーできることにワクワクしていました」
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著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。