FC町田ゼルビアのシーズン後半の失速はなぜ起こったのか? J1初挑戦で味わった3つの要因 (3ページ目)
【移籍とケガ人に泣く】
3つ目として、平河悠(ブリストル・シティ)の移籍は大きかったと言わざるを得ない。黒田剛監督もその穴がなかなか埋まらないことを隠さなかった。
「90分間、高い強度の守備であれだけチームを助けて、なおかつ攻撃でもクオリティを出せる。そんな選手はそういるもんじゃない」
昌子もまた同じように平河の存在の大きさを痛感していた。
「みんな口にこそ出さないけど、感じていたと思いますね。困った時は、とりあえず悠にボールを預けておけば、あいつがひとりでなんとかしてくれる。そんな感じやった」
その穴埋めとして代表クラスの相馬勇紀を獲得したのが、どれだけの穴だったかを物語っている。しかし、相馬は加入当初、ケガでコンディションがなかなか上がらなかった。加入直後のセレッソ大阪戦、湘南ベルマーレ戦には出場したが、その後の3試合で離脱。
第30節アビスパ福岡戦でベンチに復帰するものの、本来のコンディションを取り戻すのに時間を要した。ナ・サンホや藤本一輝ら他のウイングも奮起したが、平河の穴を埋めるまでの存在感を出すのは容易ではなかった。
さらにケガ人の影響も無視できない。天皇杯・筑波大学戦でDFチャン・ミンギュが骨折、ポリバレントな能力でチームの中盤から前線までどのポジションも埋められるMF荒木駿太も第29節浦和戦の骨折で長期離脱。
そして第30節福岡戦ではDF中山雄太も右ヒザの内側側副靭帯損傷で2カ月半離脱した。相馬のコンディション不良も合わせると、夏に大型補強をしたものの、戦力は思うように上がっていなかったのが実情だった。
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