国立競技場が世界一のスタジアムである理由 神宮外苑地区の樹木伐採はその価値を貶める (4ページ目)
日本が、たとえば他国と国境を接する欧州のど真ん中にあるなら、こうしたことにはならなかったはずだ。相対評価ができにくい、外国が遠すぎる島国が故の悲劇か。サッカーそのものにも通じることだが、自分の姿は、自分ばかり見ていてもわからない。世界と比較して初めて浮き彫りになる。
話はかなり飛ぶが、「代表監督は外国人監督で」と言いたくなる理由でもある。世界の実態を知らない日本人、つまり日本人選手の特徴、特殊性を認識していない監督では、世界と高いレベルで戦えない。
今回の神宮外苑地区での樹木伐採開始には日本人の弱点が凝縮されている。そんな気がしてならないのだ。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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