Jリーグ夏の移籍の難しさ 福田正博が指摘「ネームバリューがあっても活躍できないケースも」 (2ページ目)
【想像以上に難しい夏場の補強】
その町田を追うサンフレッチェ広島は、FW大橋祐紀がイングランド2部のブラックバーンへ、ボランチの川村拓夢がオーストリアのザルツブルクへ移籍した。川村の抜けたボランチにはベルギーのスタンダール・リエージュからMF川辺駿が復帰している。
優勝へのポイントは前半戦で11得点を挙げていた大橋の穴が埋まるかにある。たとえば2022年シーズンの鹿島は、上田綺世がゴールを稼ぎまくって首位を走っていたが、夏に海外移籍したことでその後失速してしまった。それだけに、広島が大橋の抜けたFWの新戦力を獲得していないのは、対応しきれていないのか、ほかの部分に勝算があるからなのか、興味深く見ている。
リーグ2連覇を狙うヴィッセル神戸には、ベルギーのシャルルロワからMF森岡亮太が8シーズンぶりに古巣に復帰した。近年は腰痛で出番がなかったが、長くベルギーで活躍した経験値で、土俵際にいるチームを再浮上させられるか注目したい。
鹿島アントラーズは、スコットランドのハーツからFW田川亨介を獲得し、中盤にはベルギーのルーヴェンからMF三竿健斗とウクライナのルフ・リヴィウでプレーしていたブラジル人のターレス・ブレーネルを獲得した。
中盤に新たに獲得した2選手が、ドイツへ移籍した佐野海舟(マインツ)以上の働きを見せることができるかが、2016年以来8シーズンぶりの優勝へのポイントだろう。
この4チーム以外も補強を繰り広げているが、夏場の補強というのは、周りが考える以上に難しい側面がある。
たとえば、海外のリーグでプレーしていた選手は、実力が認められて海外でプレーしてきたわけで、Jリーグに復帰してからのプレーに期待がかかるが、本来持っている能力をすぐに発揮できるかとなると、話は別だ。
自分の能力をフルに発揮していくためには、自分の特長をチームメイトに理解してもらい、チームメイトの特長も把握してチームにフィットすることが不可欠だからだ。夏場の移籍は、そこへの準備の時間が限られるため、どれだけネームバリューがあっても活躍できないケースもある。
Jリーグクラブ間の移籍も同様だ。同じシステムやスタイルのチームに移籍したのに、うまくいかなかった選手の例もたくさんある。
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