38歳・丹羽大輝と家長昭博の今、そして今後...「サッカーをわかった、という感覚にはいつまで経ってもなれない」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

丹羽 よな。これだけ全世界の人たちがハマるスポーツやから、当たり前かも知らんけど、やればやるほど奥深いし、観れば観るほど知らんことだらけやなって思う。だから、今はめっちゃサッカーを勉強してる。近隣国のトップリーグの試合も観に行くし、下部の......それこそ6部とか7部の試合や育成年代の試合を観に行くこともある。そうやって、各国の草の根の部分に近づくほど、わからんくなっていくわ。

家長 サッカー、好きやな~。

丹羽 めっちゃ好き。観れば観るほど新しいことを知れるもん。行く場所によって正解も変わるし、戦術にもいろんなトレンドがあるしね。昨今のスペインは、スペイン人以外の指導者も増えたけど、それによる戦術の変化も起きて、またこんな監督がこんな戦術を始めたんか! またこんな選手が来たんか! みたいなことばっかり。それを知るのがほんまに楽しい!

家長 それが、丹羽ちゃんの「やれる範囲」なんやろな。

丹羽 どういうこと?

家長 人にはそれぞれ「やれる範囲」があるやん? 年齢に応じてもそうやし、置かれている環境や体の状態に応じてもそうやし。それを超えてはできないというか、そこを超えると自分が苦しくなる。実際、僕が丹羽ちゃんのような毎日を送っていたら、逆にサッカーが嫌いになりそう(笑)。

丹羽 そう言いつつ、アキはトレーニングもしっかりやるし、チームのクラブハウスを出たら終わり、では絶対にない。

家長 まぁ、それも自分のやれる範囲で、よ。調整するという言い方が正しいのかはわからんけど、トレーニングをする日はするけど、めちゃあっさり家に帰る日もある。人は自分が見たものを100だと思いがちやけど、たまたま丹羽ちゃんが僕を見た日がトレーニングをしていた日だったからといって、他の日も頑張っているかはわからない。

 だからやっぱり、人それぞれだと思うんよね。トレーニングの強度も、やる量も、休む量も。なんなら、この歳になったら休憩するとか、休むこともすごい大事やと思うしね。だからこそ(自分は)この先も自分のやれる範囲で、と思ってる。

――先日、家長選手はJ1リーグ450試合出場を達成されました。30年を超えるJリーグの歴史においても15人目の偉業です。そういう数字が何かご自身の基準になることはありますか? たとえば、川崎フロンターレで言うと、すでに引退されていますが、レジェンドの中村憲剛さんが471試合、大久保嘉人さんが477試合という記録を打ち立てています。

家長 Jリーグの場合、時代によって試合数も違うし、それこそ交代枠が3人から5人に変わったことでもこういった数字は変わってくるので、あまり意識はしていません。ただ、自分の年齢が上がるほど、以前のように横を見たら同世代がたくさん頑張っている、という環境ではなくなってきたからこそ、モチベーションのひとつにしているというか。

 自分がもうちょっと頑張ろう、もう一歩前に出ようって時に、あの選手は、あの歳でこのくらい戦ったんやな、ってことを基準にすることはあります。もちろん、数字だけじゃなくて、丹羽ちゃんもしかり、周りの頑張っている姿に刺激をもらうこともありますしね。

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