中村憲剛が語ったカナダ研修での驚き「フロンターレでもそこまではできなかった」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【吸収したものをしっかりと発揮したい】

── あらためてカナダで過ごしたこの2週間半の研修期間は、憲剛さんにとってどういったものでしたか。

中村「ひと言でいえば、最高でした。これはふたりのおかげだし、温かく迎えてくれたパシフィックFCのみなさんのおかげでもあります。あますところなく全部、吸収して帰ってこられましたから。パシフィックFCのスタイルもそうですし、クラブと地域とのつながりもそう。カナダのサッカー熱も肌で感じることができました。

 指導のところで言うと、ジェイミーとアルマンダの指導を見ることで、いろんなことをインプットできました。どうしても指導者を始めると、アウトプットし続けるしかないので、人の指導が恋しくなるんですよ。だから僕のなかでは、ふたりの指導を見られたのがすごくよかった。

 僕もただ聞くだけではなくて、自分の意見を言って、指導者同士のコミュニケーションが取れたのもよかったですね。本当に未知の場所でしたけど、今ではカナダのことを一番知っているサッカー解説者じゃないかなって思っているので、2年後はたくさん仕事をいただけるかなと(笑)」

── そういえば、パシフィックFCのアンバサダーになられたんですよね。

中村「そうなんです。パシフィックFCにあやかって『P(Pacific)F(Friendship)C(Connector)』という肩書きをいただきました。具体的に何をするかは決まっていないんですけど、つながるということが大事だと思います。せっかくつながったものがこれで終わりではなくて、つながり続けることの大切さはフロンターレで学んできたこと。そういう関係性を構築できたのも、今回の研修の収穫だと思っています」

── この研修を経て、監督への想いもまた強くなったのでは?

中村「当然、監督の数だけサッカーのスタイルがあって、影響力もやっぱり大きい。監督の考え方とか、資質とか、雰囲気とかでチームの空気が変わるというのをすごく感じた2週間半でした。自分だったらどうするか、ということをあらためて考えるきっかけになりましたし、引き出しも増えたと思います。

 もともと引退した時にはS級取得を最大の目標にここまで走ってきたので、最後の締めくくりとして本当にスペシャルな時間になりました。S級を取得したあかつきには、いつ、どうなってもおかしくない状態にはなります。もちろん、その成果を発揮できる機会がいつになるかはわかりませんけど、吸収したものをしっかりと発揮したいという想いは、当然強くなりました」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る