首位・町田の強さを裏づける数値 Jリーグの「データ」が面白い! シュート決定率、ゴール期待値、ブロック数... (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【広島の不思議...16項目で一番のスタッツなのに】

 そんな町田、神戸、鹿島の上位3チームを、攻守にはるかにしのぐスタッツを記録するクラブがある。現在9位のサンフレッチェ広島だ。広島は1試合分消化が少ない状況だが、それにしてもスタッツの高さに対して勝ち点が思うように伸びていない。

 というのも広島はシュート総数、ゴール期待値など9項目で1位のスタッツで、被シュート総数系、被ゴール期待値系の7項目で1位と、優れた数字なのだ(原稿最後部にリストあり)。つまり計16項目で一番のスタッツを記録していることになる。しかもそのほとんどが得点、失点の数に直結するものだ。

 同じ計算で町田は3項目、神戸は6項目で1位であることから、いかに広島が抜きん出たスタッツなのかがわかるだろう。一方で気になるのはシュート決定率9.3(13位タイ)の低さと、被ゴール期待値12.4(1位)に対しての総失点数14(4位)である。

 シュート決定率が低いとはいえ、ゴール期待値27.7で25得点は十分だ。神戸もゴール期待値26.6に対して24得点。ただ、被ゴール期待値12.4に対しての総失点数14はともに絶対数こそ低いものの比率としては上位陣と比べると無視できない。

 町田は被ゴール期待値16.7、神戸は被ゴール期待値14.2に対して共に11失点と下回っている。広島は引き分けたほとんどの試合で、シュート数、枠内シュートで圧倒し、負けた第12節名古屋グランパス戦ですらどちらの数字でも凌駕している。

 勝ち点が思うように伸びていないのは引き分けの多さだが、神戸は紙一重で上回って勝ちきり、町田にいたってはゴール期待値を上回る得点を決め、クリーンシートを7つ重ねて今の順位がある。

 ちなみに広島とは対照的に決定率の高さで目立つのが、得点総数26(1位)のFC東京だ。シュート総数が171(16位)と少なく、ゴール期待値も17.8(15位)と低いにもかかわらず、シュート決定率15.2でダントツの1位。しかし、それを相殺するほどの失点総数(24失点・16位)となりながらも、総合順位は8位にとどまっている。

 町田と神戸の攻守に優れたスタッツは、改めて上位にいる理由がよく表れている。決定率で明暗を分ける広島と鹿島も面白い。今後も細かなスタッツに注目するのは、Jリーグの楽しみ方のひとつになりそうだ。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る