サッカー選手を値付けする「トランスファーマルクト」の中の人に聞く どのように価値を決めるのか (4ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【市場価値の最終決定には数週間を要している】

――その選手の市場価値は、どのように算出されているのでしょうか。

ティベリウス それを決める要素は、実に多岐にわたります。年齢やポジション、パフォーマンス、成績、ポテンシャル、契約年数、過去のケガ、リーグのレベル、全体の移籍金の推移といった主要なものから、たとえばコロナのパンデミックのような外的なものもある。内部スタッフで議論し、最終的に決定するまでには数週間を要している。基本的に半年ごとにアップデートしています。

――日本のリーグに所属する選手は、欧州の選手と比べると市場価値が低いという意見もあります。それはやはり、フットボールがユーロセントリック(西洋中心主義)なものだからでしょうか。

トビアス それは、私たちも正直に認めなければいけないと思う。確かにユーロセントリックな観点で、市場価値を定めているところは否めない。その一方で、これまでにJリーグから欧州のリーグに移籍した選手の移籍金が安いため、現実に即したものにしようとすると、どうしても低くなってしまうんだ。

ティベリウス 残念ながら、そうした状況にありますが、少しずつ変わってきているとも思います。たとえば、近年では中東やアメリカなど、欧州以外の国がフットボールに巨額の投資をしている。また、日本や韓国のリーグが成熟してきている印象も受けます。

後編「トランスファーマルクトの日本担当が今注目している選手」へつづく>>

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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