川島永嗣、14年ぶりの日本は川口能活コーチの存在が刺激「これを求めてジュビロに来た」 (4ページ目)
【能活さんは『もっと自分を出せ』と言ってくれる】
── 今まで多くのGKコーチのもとで指導を受けてきたと思いますが、GKコーチとしての川口能活さんはどんなタイプですか。
「今まで接してきたGKコーチにはいないタイプの指導者ですね」
── それはどういったところに感じるのでしょうか?
「ここまで高いレベルというか、自分にもない視点と見方でアドバイスをしてくれる指導者はいなかったので、日々驚かされています。
たとえば、シュートをセーブしたとしても、セーブする前のシーンで相手の攻撃を止められていたのではないかという話もしてくれます。さらにシュートを止める可能性を広げるために、プレーの選択肢についても提示してくれる。
また、プレーや技術だけではなく、気持ち的なところも含め、あれだけの経験をしている人から出てくる言葉には、やっぱり重みと説得力を感じます。DFを含めた周囲へのアプローチにしても、自分は遠慮しているつもりはないのですが、日本代表での自分を見ているからか、『もっと自分を出せ』と言ってくれるんです。
そうしたアドバイスひとつとっても、共感できる部分もあれば、自分が考えもつかなかったアプローチもあるので、新たな気づきになっています」
── お互いにリスペクトしているところもあるのではないでしょうか。
「能活さんは、自分のことをかなり尊重してくれていると思っています。だから、ひとつの例ですけど、このステップが違うとか、自分のスタイルを押しつけることはないですね。でも一方で、GKとして緩んではいけないところ、気を抜いてはいけないところについては、絶対に見逃さないというか、厳しく言われます」
── 熱いやり取りが想像できます。
「だから、日々の意見交換でも、自分はこう考えて判断したと伝えると、目的が一緒であれば、さらに何かを言われることはないですし、違う選択肢や可能性があれば、それを伝えてもくれる。
ひとつひとつのコミュニケーションや視点のレベルが高いので、瞬間的な会話でも、GKとしてさらに研ぎ澄まされていく感覚を得られています。そのたびに、『これを求めてジュビロに来たんだ』って思います」
(中編につづく)
◆川島永嗣・中編>>GK像の違い「スコットランドでは『キャッチング』に美学がある」
【profile】
川島永嗣(かわしま・えいじ)
1983年3月20日生まれ、埼玉県与野市(現さいたま市中央区)出身。2001年に浦和東高から大宮アルディージャに加入。プロ3年目に正GKの座を掴み、2004年〜2006年は名古屋グランパス、2007年〜2010年は川崎フロンターレで経験を積む。2010年7月、ベルギーにリールセに完全移籍。その後、スタンダール・リエージュ→ダンディー・ユナイテッド→メス→ストラスブールでプレーし、2024年よりジュビロ磐田に加入した。日本代表では95試合に出場し、4度のワールドカップを経験。ポジション=GK。身長185cm、体重82kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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