大迫勇也が語る連覇のために必要なこと「すべてリセットされた。成功体験を得たのはいいが、それが慢心になっては意味がない」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 もっとも、特別肩に力が入っている様子はない。「体のことを考えて生活するのが最近はすごく楽しく、趣味みたいになってきた」との言葉どおり、これまでどおり真摯に体と向き合いながら"バランス"を意識した過ごし方を継続していくだけという。

「この年齢なので、やりすぎるとケガのリスクも上がってしまうということも頭に置いて、体も、トレーニングもすべてバランスを心がけて過ごすことが大事なのかなと思っています。

 こうしてシーズンが始まると、よりリーグ連覇への思いが強くなりますが、大事なのは目の前の試合に対してやるべきことを整理したうえで、準備したものをピッチで表現できるか。常に同じテンションで戦えるか。一つひとつのプレーに妥協なく戦えるか。

 もちろん、それが思うような結果につながることばかりではないし、準備してきたものを表現できたとしても、負けることもあるのがサッカーだとは思います。でも、そうやって常に自分たちにベクトルを向けて、すべては自分たち次第だと思って戦えていれば、それがいずれは結果につながっていくはず。今年も妥協せず1試合1試合を確実に積み上げて、最終的にタイトルにたどり着けるシーズンにしたいと思います」

 ほしいのは、日本屈指のストライカーとしての称号や名誉ではなく、目の前の試合での"ゴール"。大迫勇也は今年もそこだけを追い求めて、ただ真っ直ぐにサッカーに向き合う。

大迫勇也(おおさこ・ゆうや)
1990年5月18日生まれ。鹿児島県出身。ヴィッセル神戸所属のFW。鹿児島城西高卒業後、2009年に鹿島アントラーズ入り。ルーキーイヤーから3得点をマークし、2013シーズンにはふた桁ゴールを記録。翌年、ドイツ2部の1860ミュンヘンに移籍。その後、ケルン、ブレーメンでプレーし、2021年夏に神戸へ完全移籍。2023年シーズンには得点王とMVPを獲得。チームのリーグ初優勝に貢献した。その間、日本代表でも活躍。W杯は2014年ブラジル、2018年ロシアと2大会に出場した。国際Aマッチ出場57試合、25得点。

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