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サガン鳥栖は「プレス」ではなく「ハント」 実践する攻撃サッカーで波乱を巻き起こせるか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 川井監督には、仮説を立て、それを実証する実験を続け、新しい戦いを見つけ出す"サイエンティスト"の一面がある。そのため、一般的にうまくいきかけたように見える布陣や戦い方も躊躇なくばらす。ひとつのヒントから見たこともない答えに辿り着こうとする。結果、選手によっては混乱するが、それを理解し、整理できない選手は戦場で恃(たの)むに値しない。知性と勇気が求められるサッカーだ。

「今シーズンは、GKとして自分自身にフォーカスしてやることも大事だなと思っています。ベストイレブンとか、個人賞も狙いたいですね。いくらスタッツを残しても、上位にいないともらえないので。ただ極論を言えば、最少失点だったら下位もない。結局、自分がどれだけ止められるか。圧倒的スタッツを残せるように」

 朴はそう言って、こう続けた。

「ひりつくような試合をしたいです。横浜F・マリノス時代、優勝を争って勝ち取った経験(2019年)はとてつもなく大きくて、人を2倍も3倍も成長させるものだった。それを鳥栖でできるように!」

 鳥栖は波乱を巻き起こせるのか? 2月24日、開幕戦は本拠地にアルビレックス新潟を迎える。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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