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サガン鳥栖は「プレス」ではなく「ハント」 実践する攻撃サッカーで波乱を巻き起こせるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「勝つことでトライを正解にしたい」】

「(川井監督就任)3年目のチームの積み上げ、勝つことでその価値を示したいですね」

 そう語るのは、"川井チルドレン"とも言える堀米勇輝(31歳)だ。

 堀米はJ2モンテディオ山形時代に川井監督の指導を受け、鳥栖に呼び寄せられた。プラチナ世代の天才レフティも、J1では長らく燻っていたが、過去2年で目覚めたように才能を発揮している。

「(川井)健太さんがよく言っているのは、『たとえミスをしても、いいプレーをしたとしても、次のプレーをたえず意識して』という連続性ですね。そこは自分が長く指導を受けているのもあるので、体現したいし、大事に取り組みたいです。きついときにこそ、チャンスだとは思っているので、スプリントをやりきって試合を決められるか。守備のところでも、ポジションに最後のところで戻れるか。そこは求められているところですね」

 攻守の切れ目がない連動が、選手の力を引き出し、チームの力になる。

「個人的には、試合に出る時間が増えて、できることも増えて、でも勝てないと悔しくて......。去年の終盤戦は勝ち星をつかめなかったですから。対戦する選手に『いいサッカーしているね』と言われるのはうれしいですけど、勝たないと何も残らないんじゃないか、というのはあって、ここからは自分自身が『うまい』じゃなく、自分のキャラを変えても結果を残して戦える"勝つための要素"になりたいですね」

 川井チルドレン筆頭の決意だ。

「(川井)監督がやっているトライはすばらしいものだと思うので、それを正解にしたいですね。自分たちが勝つことで」

 そう語ったのは鳥栖の守護神である朴一圭(34歳)である。2023年シーズンはトップランクのセーブ率を記録。足元の技術にも優れ、鳥栖の攻撃サッカーの原理とも言える。

「川井監督には"余白"をもらっていると思うので、あとはピッチに立った選手が何を選択し、決断できるか。真面目に言われたことをするだけでなく、よりいい道があると確信したら、勇気をもって選ぶ。それこそ、監督が求めていることだとも思っています」

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