青森山田のトレーニングはもはやプロなみ? 仕上げた身体をサッカーに活かす工夫 (2ページ目)
【筋力強化によるパワーだけで相手を上回ろうとはしていない】
――190cmの長身DF小泉佳弦選手に「長身でも相手のドリブルに対応できるくらい動けるのは、なぜか」と話を聞いたら、若松さんの指導で重心移動など身体の動かし方を変えたからだと話していました。身体操作のアドバイスも行なっているのですか?
彼の場合は、少し特殊です(笑)。中学時代は、八戸のウインズFCで活動していたのですが、青森山田のトレーナーがいると知って、中学2年の秋ごろに、うちの店舗まで片道1時間半をかけてパーソナルトレーニングに来ていた選手です。ご家族の熱心なサポートもありました。
身体の成長が早く、当時から長身でしたが、動きが鈍い、硬いという部分を課題にしていました。評価してみると、片足姿勢のバランスなどが非常に悪く、ロングキックもきれいに蹴れない選手でした。そのため、まずは、体幹とお尻周りの筋肉を強化しました。1年くらいかけて身体の弱点を強化して、中学3年に入った頃からステップワークやボディコンタクトの際の身体の動かし方の助言をしました。
彼の成長を見て、身体が大きくなる時期に、適切なトレーニングを行なうと、競技力は上がるものだと感じました。身体が成長して筋力が増える時期に、適切な負荷でトレーニングを行なうことが大切です。
彼の場合は高校3年生になって、ようやく身体がうまく動かせるようになってきたかなという印象でしたが、ヘディングの高さと強さはストロングポイントとなり、対人動作も良くなったように思います。
――話を聞いていると、鍛えるだけでなく、動きやすさも追求しているのがわかりましたが「青森山田は身体をムキムキに鍛えて、勝とうとしている」と思う方もいるようです。その点はどう思いますか?
チームで取り組んでいるのは、正木監督が求めるサッカーから逆算した「身体作り」であり、機能的に動ける身体作り、基礎筋力を向上させるウエイトトレーニングのふたつで成り立っているイメージです。
繰り返しになりますが、筋力強化によるパワーだけで相手を上回ることを目的にはしていません。ぴっちりとしたユニフォームで体格も良く見えるので、「ウエイトをやって鍛え、それで勝とうとしている」というイメージで捉えられがちなのかなとは思います。
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