浦和レッズの熱烈なサポーター村井満がジーコに質問「鹿島とのタイトル数の差は何?」 (2ページ目)

  • 宇都宮徹壱●司会・文 host & text by Utsunomiya Tetsuichi

 それは、いちクラブの改革という話ではなくて、人口4万人くらいの鹿島町(現・鹿嶋市)に1万5000人収容の専用スタジアムができて、鹿行(ろっこう/鹿嶋市を含む茨城県南東部の地域名)地域にサッカー文化が定着していった。これはすごいことですよ。

── そういえば鹿島のクラブハウスには、ジーコさんが選手に喝を入れるためにメッセージを書かれたホワイトボードが、今でも大切に保管されているそうですね。

村井 それは私も見ています。そういったものを含めての「ジーコイズム」なんでしょうね。私は浦和に住んでいて、Jリーグと関わる前は浦和レッズを応援していました。人気面では鹿島と双璧だし、平均入場者数は常にトップであり、母体となる企業もしっかりしています。

 けれどもタイトルの数では、大きな差がありました。鹿島はJ1とリーグカップと天皇杯、そしてACLを合わせて20も獲得しているけれど、浦和はその半分しかない。同じJリーグを代表する強豪でも「この差は何だろう?」というのは、ずっと考えていたことでしたね。

ジーコ 鹿島アントラーズも、最初は小さなクラブからのスタートでした。それがJリーグで最多のタイトルを獲得できたことで、J1だけでなくJ2やJ3のクラブにも、ある種の希望を与えることができたのではないかと思います。

 どんなに小さなクラブでも、地域とパートナー企業とファンとが協力して弛まぬ努力を続ければ、やがては成功したクラブになることができる。そうしたことを、鹿島は証明してみせたのではないかと思っています。

村井 単年度で見ると、いい選手が揃っていたとか、優秀な監督が就任したとか、そうした好条件が重なってタイトルを獲得することもあると思うんです。けれども、30年という長いスパンで考えた時、鹿島と浦和のタイトル数の差が意味するものは何か? あえて言葉にするなら、やっぱり「クラブの総合力の差」なんでしょうね。

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