永井秀樹に聞いた「なぜイニエスタは移籍した?」「マタはなぜ出場10分で退団?」「ヴェルディのJ1昇格、どう思う?」 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

── ファン・サポーターのみなさんが感謝を伝えた人といえば、アンドレス・イニエスタの退団に触れないわけにはいきません。永井SDにとっては、調整力が問われる局面でした。

「東京ヴェルディユースの監督だった当時、彼のプレーを編集した映像を選手たちに何回見せたことか。数えきれないぐらいです。ヴィッセルで一緒に仕事ができるようになって、喜びはもちろん大きかった。

 ただ、5月で39歳になった彼にとっては、1試合、1試合がすごく大事だと思うんです。20代前半の時とは意味合いが違います」

── 永井SDも45歳まで現役を続けたので、キャリアの晩年を迎えるイニエスタの気持ちは理解できたのでしょうね。

「クラブに対する貢献度とか、サポーターからの信頼などを考えれば、彼自身にとっても難しい決断だったと思います。ただ、チームが勝ち点を積み上げていくなかで、アンドレスがピッチに立つ機会は限られていた。もっと試合に出たいという気持ちを尊重して、双方合意での退団ということになりました」

── 三木谷オーナーの反応は? 

「現場の意見を尊重してくれました」

── オーナーは現場に介入する、と見られがちですが。

「そういうイメージがあるかもしれませんが、全然そんなことはないですよ」

── イニエスタと入れ替わるように、フアン・マタを獲得しました。

「まずは彼自身が、日本でプレーすることを望んでいました。日本に対するリスペクトがあって、金額的にも十分に折り合いがつくものでした」

── しかし、わずか1試合、10分のみの出場に終わりました。

「5枚で引かれた相手を崩すのに苦労している時期で、アンドレスは退団している。そこで、トップ下のポジションで仕事ができる選手としての獲得でした。

 シーズンを通して何回か、そういう局面が来ると想定していました。チームはJ1優勝という結果を残してくれましたが、アジャストできなかった選手もいます。自分の仕事は勝ったからOK、というわけにはいきません」

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