「結局、勝つ=守れることだ」FC町田ゼルビア・黒田剛監督の青森山田時代から変わらないサッカー哲学 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【なんでもできるサッカーのはるか高いものを作っていく】

――来シーズンのJ1に向けてチームをどのようにアップデートしていこうと考えていますか?

 人も変わって、どのようにメンバーが機能するかというのは、これからキャンプを通じて図っていくところではありますけど、やってきたベースを大きく変える必要はないと思っています。

 そのなかでよりスピーディーに、よりクオリティ高くやれることを増やしていく。なにかを求めてなにかができなくなるというより、すべてのスキルをアップさせていくのがJ1で勝ち抜いていくための絶対的なチーム作りだと思っています。

 それは青森山田が高校サッカーで3冠を獲った時のような、なんでもできるサッカーですね。そのグレードのはるか高いものを作っていきたい。守られても崩していける。リスタートからでも点が取れる。相手のボールになったらそれを全部潰しながら我々のカウンターに持っていける。そんな隙のないチームを作りたいですよね。

――では最後にサポーターの方々に来年期待してほしいこと、意気込みを聞かせていただけますか。

 今年も町田GIONスタジアムに本当に多くのサポーターが集まってくれました。来年はもっとたくさんのサポーターがスタジアムに足を運んで、圧倒的なホームの雰囲気を作ってくれると信じています。

 それは我々にとってものすごく勇気づけられることだし、待ちに待ったJ1の雰囲気というものを町田の方々に体感してほしいと思います。そのなかで我々の頑張りによって、感動や勇気、希望を与えられるようなサッカーをしたいと思っています。

 今は東京と言えばFC東京が絶対的な人気があると思いますが、それを飲み込んでいけるような勢いを持って、また胸を借りるつもりでチャレンジャー精神を持って飛び込んでいきたい。そんな果敢な姿をサポーターの方々に見てほしいと思います。
(おわり)

黒田 剛 
くろだ・ごう/1970年5月26日生まれ、北海道札幌市出身。登別大谷高校、大阪体育大学で選手としてプレーしたあと、1994年に青森山田高校のコーチに就任。翌年からは監督を務め、同校を日本トップの強豪に育てた。全国高校サッカー選手権では3度の優勝を経験。2023年に青森山田を離れ、FC町田ゼルビアの監督に就任。1年目でクラブをJ1昇格・J2優勝に導いた。

著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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