三笘薫、田中碧、板倉滉、旗手怜央...川崎フロンターレのGKチョン・ソンリョンが近くで見てきたサッカー日本代表選手を語る (2ページ目)
【パスサッカーの浸透に驚き】
そしてチョン・ソンリョンの川崎での8年間を感じさせるのは、若き日の板倉滉(現ボルシアMG)の姿も目にしていることだ。2016~17年と共に在籍している。この2年間わずか7試合出場の若手だった。
「まだ若かった頃、2年だけ一緒にプレーしました。まだ"子ども"でしたよ。パワーはあまりなかったけど、身体的能力やスピードはありましたね。川崎ではセンターバックとして攻撃的なパスの展開や、組み立て。つまりはパスサッカーを基本的に学んだことがのちのヨーロッパのキャリアでも大いにプラスになったと思います」
さらにチョン・ソンリョンは、この8年間のJリーグ全体の変化についても感じるところがある。驚きの感情とともにだ。
「J1ではリーグ戦の上位下位に関係なく、チームでもしっかりとパスを繋ぐサッカーをやるでしょう? 世界的に見てもこれは本当に驚くべきことです。変化はここ2~3年で起きていると思うんですよね。湘南ベルマーレは今季、最終節を前に残留を決めましたが、しっかりと繋ぐスタイルを実践してきた。私が川崎に入団した頃は、確か堅守から長いボールを多用するサッカーをしていたように思います。
育成世代の強化の成果が出ている影響もあると思います。川崎でも時々U-18の選手が入ってきて、トップの選手に混じって練習試合をやります。パワーは弱いけど、ちゃんと川崎のサッカーをやろうという意志は感じられる。状況の把握能力が高いんですよ。これはここ数年で出てきている傾向ですね」
もちろんこの8年間のすべてが良い時間だったわけではない。2019年には正GKの座を新井章太(現ジェフユナイテッド千葉)に奪われた。今季も4月23日の第9節の浦和レッズ戦から7月1日の第19節名古屋グランパス戦まで上福元直人にポジションを譲った。
「どんな状況でもつねに競争だと思っています。チームがうまくいっていない時、チームがうまく機能していない時に、選手を替えるのは監督の判断ですし。自分自身の力が足りなかったから、交代になった。
過去にもこういった時期はありましたが、同じことですよね。不足している部分を補うために練習して、試合に出ている選手をサポートする。まずはチームが優先ですね」
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