古橋亨梧のイチオシ「大橋祐紀って誰だ?」 得点ランク日本人3位タイの湘南FWが覚醒した理由 (4ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【日本代表は「何歳になってもあきらめたくない」】

 セルティックの古橋亨梧とも、中央大学で共闘した。ひんぱんに連絡を取り合う間柄ではないものの、2学年上の先輩の心配りが大橋の胸を打つ。

「去年6月にDAZNの『やべっちスタジアム』に亨梧くんが出たんです。J1の注目選手をふたりあげて、ひとりがイニエスタ選手で、もうひとりが僕だったんです。

 観ていた人は『大橋って誰だ?』と思ったでしょうし、事前連絡とかがなかったので自分もびっくりしましたけれど、そんなふうに気にかけてもらって、すごくうれしかったです。もっとやらなきゃと、めちゃめちゃ思いました」

 自身が日本代表に選出されれば、渡辺や古橋と再びプレーすることができる。大橋の眼に、強い光が宿った。

「日本代表はもちろん目標です。何歳になってもあきらめたくないし、向上心がなくなったら終わりだと思うので、そこは常に意識したい。あと二段階、いや三段階くらいレベルアップしないといけないので、もっともっとがんばらなきゃいけないです」

 さらなる高みを目ざす大橋にとって、12月3日のシーズン最終節は、その第一歩となる。

「今年が特別にいいシーズンかと言ったら、そんなことはないんです。僕の得点はワンタッチゴールが多いのですが、それはチャンスメイクをしてもらっての結果だと思う。チームメイトに感謝しつつ、自分自身はまだまだ足りないところが多いので、最終節から来年につなげていきたいと思っています」

 逆境にくじけず、順境にゆるまず、真っ直ぐでしなやかな心で、少しずつ成長の歩幅を広げていく。ほとばしるような情熱をプレーに注ぐ大橋は、まだまだ大きなのびしろを秘めている。


【profile】
大橋祐紀(おおはし・ゆうき)
1996年7月27日生まれ、千葉県松戸市出身。ジェフ千葉のアカデミー出身で八千代高から中央大に進学。大学4年時の2018年には関東大学リーグ2部で得点王となり、特別指定選手として湘南ベルマーレでもプレーする。同年12月の名古屋グランパス戦でJリーグデビュー。2023年のJ1開幕戦ではハットトリックを達成し、湘南の選手としては1998年の呂比須ワグナー以来25年ぶりの快挙。ポジション=FW。身長181cm、体重76kg。

プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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