古橋亨梧のイチオシ「大橋祐紀って誰だ?」 得点ランク日本人3位タイの湘南FWが覚醒した理由 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【ベルギーの渡辺剛からは「刺激をもらっている」】

 それにしても、である。

 目の前の試合に、目の前のプレーに集中した結果だとしても、前年の2点から13点までゴール数を伸ばした要因はあるはずだ。

「何かをガラリと変えた、ということはないんです。FWなのでいつでも点を取りたいと思っていますし、1年目よりは2年目、2年目よりは3年目と、自分なりに積み重ねてきたものがあって、周りとの関係性が深まって、なおかつ冷静にやろうというのは今年は特に心がけています。自分、自分にならずに、ボールをはたく。何かあるとしたらそこかな、と思います」

ゴール量産で湘南のJ1残留に大きく貢献 photo by Sano Mikiゴール量産で湘南のJ1残留に大きく貢献 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る そもそも、エゴイスティックなタイプではない。ストライカーの仕事をいかに全うするかを考え、自分なりのプレースタイルが輪郭を帯びていった。

「以前からパスを出していましたけど、より意識的にという感じです。難しいことをしないで、点を取るところでパワーを出せるようにしよう、と。言語化するとしたら、割りきりでしょうか。そればかりではないですけど、それはあるのかなあと」

 ストライカー特有の「嗅覚」という表現を、使いたくなるゴールもある。大橋自身は「それも大事だと思います」としたうえで、違う言葉を持ち出した。

「たとえば、J1残留が決まった横浜FC戦でガンちゃん(大岩一貴)が得点した場面では、自分と(キム・)ミンテくんもGKが弾いたボールに反応できるポジションにいました。たぶん数年前の試合でも、自分は同じことをやっていると思います。

 嗅覚というよりも、ここにこぼれてきそうだとか、ここにパスが来るといった予測に基づいた習慣と言ったほうが、僕の場合はしっくりきます。湘南ベルマーレとしての戦い方がありますし、周りを使って生かされて、というのもありますし」

 11月のワールドカップ・アジア2次予選に追加招集された渡辺剛は、中央大学サッカー部の同級生だ。ベルギー1部のクラブ(ゲント)で奮闘するCBには、「めちゃめちゃ刺激をもらっています」と言葉に力を込める。

「代表に選ばれた時は、おめでとうと伝えました。横浜F・マリノスの上島拓巳も同級生で、彼らと戦いたい気持ちがありますし、同じ舞台でできたらいいなとも思います」

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