古橋亨梧のイチオシ「大橋祐紀って誰だ?」 得点ランク日本人3位タイの湘南FWが覚醒した理由 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【町野修斗のドイツ移籍は「まったく関係ない」】

 プロ1年目の2019年に、前十字じん帯損傷、外側側副じん帯損傷、大腿二頭筋損傷で全治8カ月の大ケガを負った。翌年3月には、右反復性肩関節脱臼で全治5カ月の診断を受ける。同年8月には、左鎖骨骨折で3カ月の離脱を強いられた。プロ入りから2年で実に16カ月もの月日を、ケガの治療とリハビリに費やした。

「壮絶と言えば壮絶ですが、8カ月、5カ月、3カ月と離脱期間がだんだん短くなったので、それは幸いだったかもしれません。それと、ひざのケガから復帰した直後は、当たり前ですけど全然しっくりいってなかったんです。でも、そのあとの離脱期間にリハビリなどができたので、ひざの違和感がだんだん抜けていきました。

 肩も復帰したばかりの頃は、転んだ時に地面に手をつくのが怖かった。それも、鎖骨のリハビリ期間によくなっていった。そうやってコンディションが戻っていって、3年目で戦えるようになったんです」

 プロ3年目の2021年は、31試合に出場して4ゴールを記録した。シーズンを通して戦う準備が整ったが、4年目は22試合出場で2得点にとどまった。

 胸のなかで危機感が膨らんでいく。だが、悲壮感はなかった。

「そういうサッカー人生なのかな、と思っているので」と、自然な笑みをこぼす。

「自分なりにいろいろな挫折を経験してきて、そのぶん大器晩成型だと思っています。あれこれと悩んでもなるようにしかならないし、またかと思うこともありますけど、最終的には『まあ、大丈夫だろう、いけるっしょ』という考えに至るんです」

 今シーズンは7月22日の22節から、コンスタントに得点を重ねていった。その直前に、町野修斗がドイツのクラブ(ホルシュタイン・キール)へ移籍している。責任感を膨らませていったのだろうか。

「町野がいなくなったというのは、まったく関係ないです。その代わりに入ってきた選手もいましたし、その時点では4点しか取っていなかったので、まずは自分が試合に出て結果を残さなきゃいけない、ということしか考えていませんでした」

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