湘南ベルマーレはなぜJ2に落ちそうで落ちない? 元Jリーガー坂本紘司社長が語る「サッカーの世界基準」を読み解く力

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【戻るならまた湘南で、と思ってもらえるように】

 今夏の移籍市場では、チームトップの9得点を挙げていたFW町野修斗が、ドイツ2部のホルシュタイン・キールへ旅立った。ここ数年だけでもDF山根視来(→川崎)、MF齊藤未月(→ルビン・カザン/ロシア→ガンバ大阪→神戸)、MF鈴木冬一(→ローザンヌ・スポルト/スイス)、MF田中聡(→コルトレイク/ベルギー)らを国内外のクラブへ送り出している。

 齊藤は2021年から期限付き移籍中で、田中は2022年8月から1年間の期限付き移籍を経て今夏に復帰した。また、2020年の高校卒業と同時にスイスのシオンへ期限付き移籍したFW若月大和は、2022年から湘南の一員としてプレーしている。

 主力選手の移籍を認めながら、チームの成績を維持向上させることには、どのチームも頭を悩ませる。坂本も「そこは本当に難しいですね」とうなずいた。

「選手が移籍したら代わりの選手を獲るか、というのはいつも議論しています。そのうえで言うと、他クラブと競合するような選手を獲るためには、湘南の色を作り上げないといけない。

 そのひとつとして、本人が望むタイミングとクラブがある程度許容できるタイミングで、いいオファーがあれば送り出すというスタンスは持っています。Jリーグへ戻ってくるならまた湘南で、と選手が思ってくれる送り出し方も大事にしています」

 町野に代わる得点源として、J2の清水エスパルスからディサロ燦シルヴァーノ、J3のY.S.C.C.横浜から福田翔生を完全移籍で獲得した。ディサロはJ1昇格争いを演じるチームで、定位置を掴めずにいた。福田はJ2で21試合11得点の結果を残していた。

「下のカテゴリーから来た彼らは、やってやるぞという強いモチベーションを持っています。我々はクロス数がJ1の上位ですが、その数ほど得点が入っていない。ディサロはクロスに合わせるのがうまいワンタッチゴーラーで、人間性もすごくいい。福田はどちらかと言うとおとなしいタイプですが、ピッチでは人が変わったようにチームを鼓舞できる。

 そういった個々の特徴を踏まえつつ、チームの方向性や一体感を重視して、獲得しました。ここまで9得点の大橋祐紀も期待を抱かせてくれます。彼は在籍年数も長いですし、このクラブのためにという気持ちも強いので」

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