J2ヴァンフォーレ甲府のACL出場は黒字か赤字か アウェー旅費&国立ホーム開催費用などを聞いてみた (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【国立ホームのチケット売り上げが伸びている】

 では、横澤さんは収支をどのように見積もっているのか。ACL単体でプラスにできるのか、それともマイナスになってしまうのか。そこが最も気になるところだ。

「以上のような支出と収入を見積もった結果、当初ACL単体でマイナス8000万円を見込みました。もちろん、大きな後ろ盾のないヴァンフォーレの場合、年間の黒字はマストなので、ACL以外を含めた場合は黒字になるように予算を立てていますが」

 ACLだけでマイナス8000万円ということは、単純に考えれば、他の予算を最低8000万円分削らなければならない。やはり、ACL出場はヴァンフォーレにとっては大きな負担になってしまうようだ。

 奇しくもこの夏、AFCは来シーズンからのレギュレーション変更を決定。優勝賞金を3倍にするなど、出場クラブへの分配金を大幅にアップさせることも発表した。

「1年遅いよ!」という声が山梨方面から聞こえてきそうだが、これもやむなし、だ。

 ただ、横澤さんの目には希望の光が映りつつあるという。一体、どういうことか。

「当初、国立開催の有料入場者数を2~3000人くらいで見積もっていたのですが、筆頭株主の山日YBSグループの協力もあり、渋谷と新宿で効果的なプロモーションをできました。田舎のクラブが東京の人気スポットでインパクトのあるポスターを掲示したことで、かなり反響をいただき、ここにきて急激にチケットの売り上げが伸びています。すでに予想の4倍近くが売れているので、いまは嬉しい悲鳴といったところです」

 10月4日(水)19時キックオフのブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦。たとえばゴール裏は2000円、バックスタンドでも3500円、その間にも2500円、3000円と、国立の観戦チケット代とは思えないような低価格設定が、反響の要因のひとつになっているという。

 この勢いなら、ACL単体での黒字化も視野に入ってきたのではないか。

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