J2ヴァンフォーレ甲府のACL出場は黒字か赤字か アウェー旅費&国立ホーム開催費用などを聞いてみた (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【アウェー試合の出費+国立開催費が大きい】

 では、ACL出場によって、ヴァンフォーレにはどんな支出、負担が発生するのか。

「大きな柱で言うと、アウェー戦の旅費です。ヒアリングで得た情報をベースに中国、韓国、オーストラリアへの遠征を想定して予算を立てたのですが、航空券代や現地の宿泊ホテル代を含め、アウェー3試合で約7000万円を見積もりました。

 もうひとつ大きかったのは、ホームゲーム3試合を国立競技場で開催することによる支出です。1階席のみの限定使用にしたのですが、スタジアム使用料、警備費、甲府から東京までの選手スタッフの移動、それとACLでは相手チームの空港からホテル、ホテルからスタジアムの輸送、練習場の確保はホーム側の負担なので、それも計上します。

 それでいくと、小瀬(JITリサイクルインクスタジアム)で開催するよりも5~6倍の出費になってしまいます。しかも普段の客単価が2500円くらいなので、わざわざ交通費をかけて東京まで来てくれるファンの方に高額なチケット代をお支払いいただくのは申し訳ないという話になり、通常のチケット代に近い価格に設定しました」

 逆に、ACL出場によってどのような収入が得られるのか。

「まず、JリーグからACLサポートという名目で1億円の収入があります。ただ、この1億円を何に使うかはクラブの自由なので、ここはACLに出場するために必要なチーム強化費として考え、ACL単体の予算組みには含めずに予算を立てました。

 その他では、グループステージのアウェー3試合に対し、AFC(アジアサッカー連盟)からトラベル・コントリビューション(旅費の補助金)として1試合につき6万ドル(約900万円)をいただけます。遠征費の補填は予算に計上しておりますが、勝てば1試合につき5万ドル(約750万円)、引き分けなら1万ドル(約150万円)、ラウンド16に勝ち進めれば10万ドル(約1500万円)の賞金に関しては勝敗が読めないので、予算からは外しています。

 ACLでは唯一ユニフォームの胸にスポンサーを入れることができるのですが、リーグ戦のユニフォームスポンサーでもある『はくばく』様が支援をしてくださることとなってACLを戦い抜くうえで大きな支えとなりました。『はくばく』様には長年手厚いサポートをいただいているのですが、今回も手を差し伸べていただき、本当に感謝しかありません」

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