夏の移籍で戦力ダウン必至の5クラブ 有望若手の流出でダメージを受けるのはどこか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

◆北海道コンサドーレ札幌
 新潟同様、チャンスメーカーであり、ゴールゲッターでもあるMF金子拓郎(→ディナモ・ザグレブ/クロアチア)を海外移籍で失った。

 金子は移籍までのJ1全21試合に先発出場し、88分に途中交代した1試合を除き、すべてフル出場。右サイドを主戦場に馬力のあるドリブルと精度の高いクロスで多くのチャンスを作っていただけでなく、左足から放つパンチ力のあるシュートを武器に、自らも8ゴールを決めてきた。

 9ゴールでチーム得点王のMF浅野雄也とともに札幌の攻撃力を支えていた、背番号9を失った痛手は相当なものだろう。

 策士であるミハイロ・ペトロヴィッチ監督が、この危機をどう乗り越えてくるのか。楽しみではあるが、大きな戦力流出であるのは間違いない。

◆横浜FC
 昨季のJ2得点王であり、J1昇格の立役者でもあったFW小川航基(→NECナイメヘン/オランダ)が海外移籍。今季開幕から下位低迷が続く横浜FCにあって、孤軍奮闘が光っていたエースストライカーがクラブを離れた。

 小川が今季挙げた6ゴールは、チーム総得点(17ゴール)の3分の1以上にあたるもので、貴重な得点源を失ったことになる。苦しい戦いのなかでは、ヘディングに強い小川が前線でターゲットとなり、うまく逃げ道を作ってくれてもいただけに、今後の戦い方に与える影響は決して小さくないはずだ。

 加えて、抜群のスピードでスーパーサブ的な役割を果たしていたFWサウロ・ミネイロ(→セアラーSC/ブラジル)も、母国のクラブへと復帰。攻撃のオプションを失ったという意味では、こちらも痛い戦力減だろう。

◆名古屋グランパス
 MF森島司(サンフレッチェ広島→)、FW前田直輝(ユトレヒト/オランダ→)、FW中島大嘉(札幌→)ら、積極的な夏の補強を行ない、プラス材料も少なくない名古屋だが、やはりFWマテウス・カストロ(→アル・タアーウン/サウジアラビア)の離脱は、かなり大きな痛手なのではないだろうか。

 鋭いカウンターを武器とする名古屋にあって、スピードのあるドリブルで攻撃の推進力を生み出せるマテウスは、いわば替えの効かない存在。今季4ゴールと、チーム最多のFWキャスパー・ユンカー(11ゴール)にゴール数では及ばないものの、果たす役割の重要度はユンカー以上だったと言ってもいい。

 名古屋が従来のスタイルを貫こうとするならば、Jリーグ屈指の強力助っ人を失った穴は小さくない。

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